KADOKAWA Group

Facebook X(旧Twitter) LINE はてブ Instagram Pinterest

そこのみにて光輝く (河出文庫)

そこのみにて光輝く (河出文庫)

そこのみにて光輝く (河出文庫)

作家
佐藤泰志
出版社
河出書房新社
発売日
2011-04-05
ISBN
9784309410739
amazonで購入する Kindle版を購入する

そこのみにて光輝く (河出文庫) / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

ミカママ

若者の貧困を語った新書で紹介されていた作品。映像鑑賞済み。貧困から抜け出したくともその方策のない、主人公たちの生き様。映画は第一部の大筋をなぞって制作されたようだが、文字通り光の見える第二部も読み応えがある。子どもたちの幸せを願いながらも、手助けするすべもない母親が不憫だ。表題は「そこ(底)のみにて」なのだと知り、やりきれなさに拍車がかかる。若くして自死されたという作者の作品、手に入る限り読み尽くしたい。

2022/05/18

おしゃべりメガネ

北海道は函館出身の作家さんで初読みの佐藤泰志さん作品です。読み始める時に読友さんが絶賛していたので、自ずと期待値ハードルが上がってしまいましたが、そんな高さをものともせず、軽々と楽勝にクリアしてしまうくらい素晴らしい作品でした。とにかく人物描写や心理表現が秀逸で、何気ないしぐさや、表情までもがこの上なく繊細に伝わってきます。人物がそれほど多くなく設定されているので、読みやすく、その風景の美しさも合わせて堪能できます。個人的には主人公より「千夏」さんのキャラがとても魅力的で、とても素晴らしい読書時間でした。

2015/10/27

カムイ

佐藤泰志作品二冊目、昭和50年代の函館を舞台にした若者の群像劇かなぁ⁉️舞台は啄木公園にあるバラックと市営住宅と大森浜と海岸町にあったラブホ。全てリアルタイムで体験しているこの場所に彼らが私の横をすり抜けていく様がdejabu様に目眩すらした。主人公の達夫、彼女の千夏、その弟の拓児の残酷なまでの青春に不器用だ、町の衰退を背景にしながら希望を持ち、日々をおくる姿は底辺にいても明るさはあったと言えるだろう。冒頭にパチンコ屋の場面ではあり得るかなとそんな出会いで人生もガラッと変わってしまうのは、この→

2022/01/26

あちゃくん

今年見た映画で、心揺さぶられた作品の原作本。映画は映画で、小説は小説で、両方とも独自に美しさが有り良い作品でした。ストーリーは映画と小説で多少組み替えていますが、ともに納得感がありました。小説の方は乾いた筆致ですが人間の情動をうまく表現できていると思います。良い作品でした。

2014/09/25

アキ

菅田将暉、綾野剛、池脇千鶴出演の同名映画を見てから原作を読んだ。北の寂れた街の海辺のバラック。そこに住む拓児と姉千夏とパチンコ店で出会う達夫。この3人を軸にした物語。小説で圧巻なのは、達夫と千夏の海辺でのセックスシーンと、達夫が松本の別れた妻との不倫関係での性交の描写。映画では達夫と千夏のラストシーンでの表情が忘れ難い。昭和の重く、湿気のある空気感を久々に思い起こさせる映画と小説。著者は、函館生まれ。1990年41歳で自死した。本書は1989年第2回三島由紀夫賞候補作。永らく絶版だったが、2011年再版。

2021/11/06

感想・レビューをもっと見る