殺してもいい命---刑事 雪平夏見 (河出文庫)
殺してもいい命---刑事 雪平夏見 (河出文庫) / 感想・レビュー
absinthe
いやーよかった。これは名作の気がする。犯人は著者のクセからすぐに推測付いてしまうが、これは著者が意図したことと思われる。古典的世界、つまり従前の推理物の多くは、観測者である探偵やら刑事やらが、観測対象である被害者や犯人と見えない壁で隔てられている。本作は量子力学のように刑事と事件がもつれを起こしている。このもつれ具合が面白い。結末付近の謎の描写と次巻の表題から、いやな予感が・・・。
2019/03/18
イアン
★★★★★★★★☆☆刑事雪平夏見シリーズ第3弾。「殺人ビジネス、始めます」というチラシを口に入れられた状態で、雪平の元夫が殺された。難航する捜査を尻目にフクロウを名乗る犯人は〝ビジネス〟を拡大させていき…。なぜ雪平の元夫は殺されたのか。マスコミを巻き込んだ劇場型犯罪という点では第1弾『推理小説』と同じだが、一人目の被害者が身内という展開にまず驚く。雪平の苦悩や人間味も垣間見れて、ラストが衝撃的なこの作品こそ映像化してほしかった。ところで文庫本P320で由布子が美央の枕元でしたあることって、回収されました?
2022/07/18
ALATA
「殺人ビジネス、始めます」イブの夜、被害者の口に挟まれたキャンペーンチラシ。容疑者として雪平警部補が連行される。今作は安藤、林堂、平岡と非合法のチームで囮捜査が行われ、いつも通りアンフェアな展開が。刑事として必要があると判断したから撃つ、我が子を前にしての躊躇い、初めて母親としての情が感じられた。たどり着いた悲しい真実に、美央の今後が気になる。★5※終章に近づくにつれ、一章~三章のプロローグを読み返し、入れ子構造のミステリーに関心しきり。平らかな凍てつく雪原に拳銃を構え立つ夏美はやっぱり美しい。
2022/09/28
mr.lupin
雪平シリーズ、1、2作目を飛ばして3作目を読了と言うか、シリーズ物とは知らなかった。「殺人ビジネス、始めます」フクロウと名乗る犯人の正体は... そして最初の被害者は... 内容もスピーディーな展開で非常に読みやすかった作品だった。最後も衝撃的であり面白かった。このシリーズ他の作品もまた読んでみたい。☆☆☆★★
2019/07/18
えみ
衝撃!これは…衝撃だ。こんなにズタズタにされて、普通の人でいられる方が怖い。だから雪平夏見はこれでいい。刑事としての役割が感情を殺しているとしても、犯罪者への迷うことなき制裁を、正しい覚悟で下すことが出来るのだから!誰にも辿り着けない、眺めることの出来ない世界に身を投じた雪平独特の感性。まさか理解者が現れるとは…予想外な展開だが面白さに拍車がかかり、益々目が離せない。『刑事 雪平夏見』シリーズ第3弾。信じれば裏切られ信じなければ一歩も進めない。人が人を裁くことはどういうことか、彼女の心の揺れが答えなのか。
2022/06/08
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