小松左京セレクション 1 (河出文庫)
小松左京セレクション 1 (河出文庫) / 感想・レビュー
bura
小松左京が読みたくなって。セレクションの1「日本」を図書館で借りる。初期の小松左京はエネルギッシュであり、SFなれど多分に思想的である。「地には平和を」「戦争はなかった」には戦後日本への懐疑が感じられる。「御先祖様万歳」には当時のSFユーモアの王道があり、嬉しい。一番読みたかったのは「物体O」この日本を跨ぐ巨大な物体の壮大なスケール感は、まさに日本沈没の前章と言える作品だと思える。うーん、小松左京はいつ読んでもワクワクするなあ。
2020/09/04
イプシロン
「日本」という副題を実に見事に浮き上がらせるセレクション。学生時代に齧りつくように小松作品を読んだため、編者・東浩紀の小松への強い傾倒からくる作品選択に共感できた。戦後の高度経済成長はある種の幻想ではないのか? 日本と日本人とは何か? を問う作品群はどれも圧倒的で色褪せていない。過去へと時間旅行できたとしても、時間の流れやその結果は変えられない。運命論を肯定する思想の底には、すべての運命を見極められないがゆえの人間の悲哀に満ちている。自分の世界にしか生きられない個人は、他人の人生を左右できないのである。
2019/10/03
まえすとろ
数ある小松左京作品の中で「日本」をテーマに置いた傑作、名作を再録または抜粋した作品集。編集の東浩紀は自他共に認める小松左京の大ファン。小松左京最高傑作の誉れも高い『果てしなき流れの果てに』の≪草案≫でもあり、長らく絶版だった『地には平和を』、和製「タイムトンネル」を題材にしたSFコメディの傑作『ご先祖様万歳!』、長編小説『果てしなき流れの果てに』からのスピンオフストーリーであり、小松作品にしては珍しいSFラブファンタジーの短編『お糸』の再録は非常に嬉しい。↓
2014/10/16
あきあかね
今まであまりSFは読んで来なかったけれど、NHKの『100分de名著』の小松左京の特集で、その世界観の広大さに惹かれ手に取った。 この選集のテーマは「日本」。戦後、高度成長を経て経済大国になった日本社会、そこに生きる日本人を当たり前のものとして捉えず、新たな視点から光を当て、読み手に疑問を呈する。その問いかけをより強調し直截に行うために、SFという「舞台装置」が用いられているように感じられる。 著名な長編小説『日本沈没』はエピローグ部分のみが載っているが、竜に見立てた日本列島が海中に飲み込まれてゆく⇒
2019/07/28
Tadashi_N
危機の際の対応について、現政権のお粗末さが図らずしてわかる。
2020/06/07
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