小松左京セレクション 2: 未来 (河出文庫)
小松左京セレクション 2: 未来 (河出文庫) / 感想・レビュー
イプシロン
知の巨人、小松左京の偉大さにただただ驚愕した。この世界の本質は「空」であるという仏教の思想を根底とし、かつ日本と日本人に足りないものを見事なまでに的確に言い当てているからだ。足りないものは、哲学。きちんと言うならば、カントやハイデガーといったレベルの認識・存在論的な思考の欠如である、と。それはまた、日本が国際社会で没落した原因でもある、と。自己認識・自己存在を自覚し意識化できない民族性ゆえにである、と。換言するなら比較文化論をおざなりにしてきたという山本七平の鳴らした警鐘と小松の意見は一致しているのだ。
2019/10/06
Tadashi_N
現代と確実につながっている未来。地球環境の問題放置が悲劇を生む。
2020/04/18
フーミン
作者の哲学がきちんと書かれている本。SFの世界にもこの思想を反映させている。すごいなー。今日本に欠如しているものが何であるかを指摘されているような気がします。
2021/02/03
Bartleby
このセレクションでは、評価の高い短編「神への長い道」や『虚無回廊』からの抜粋などに加え文明論や回想録なども収録されており、読み進めるほどに小松左京の人物像が立体的に見えてくるものになっている。後半の東京オリンピックや大阪万博をめぐる回想録(抜粋)は、その世代ではない自分にはイマイチ分からなかった当時の社会の状況や空気がクリアに示されていて特に興味深く読むことができた。収録されているのは小松が梅棹忠夫らと研究会をしているところまでだが、実際に万博の仕事に携わるところまで全編読んでみたくなった。
2016/02/02
不見木 叫
「極冠作戦」と「人類裁判」が私的ベストです。特に「人類裁判」は価値観を揺さぶる展開と仏教に絡めたオチが秀逸。
2021/09/29
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