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銃 (河出文庫)

銃 (河出文庫)

銃 (河出文庫)

作家
中村文則
出版社
河出書房新社
発売日
2012-07-05
ISBN
9784309411668
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銃 (河出文庫) / 感想・レビュー

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starbro

中村文則 全作品完読プロジェクトは一旦完了しているのですが、単行本未収録「火」が河出文庫版の本書に含まれていることを知り、このタイミングで読みました。「銃」は再読ですが、著者のトンガリ加減は流石で名作だと思います。「火」は「禁じられた遊び」を想い出させる「性と暴力の迷宮の物語」でした。今年の前半に中村文則の新作が出るようなので期待したいと思います!

2016/04/19

zero1

重苦しい中に描かれたものは何か?中村のデビュー作で芥川賞候補、新潮新人賞だが底知れぬポテンシャルを感じた。大学生の主人公は死体の近くにあった銃を拾う。そこから非日常の世界が始まる。銃は人を殺すための道具。あれば使うし、人の行動を変える。作品でも描かれているが、銃と核兵器には共通点がある。虐待された子やその母親は、後の作品につながる。あとがきで中村はこう述べている。【絶望的なものを把握しようとすることはそれだけで希望につながる】つまり、希望を浮き彫りにするため絶望を描くのが中村流。衝撃の結末をどう解釈する?

2019/04/24

パトラッシュ

外国の射撃場で拳銃を撃った経験がある。数種類の銃で百発以上撃ったが、その破壊力はわかっても銃自体が魅力的とか美しいとは感じなかった。拾った拳銃に魅せられてしまう心理は理解しにくいし、そんな若者が破滅への一直線を辿るストーリーの見当はついてしまう。警察との対決シーンは明らかに『罪と罰』をなぞったもので、結末もありきたり。ここで何か意外な曲がり角を展開できたなら、強烈なドラマになっていたのに惜しい。しかし、そこへ至るまでの作者の筆力は少々強引だが読ませるエネルギーに満ちている。後の『掏摸』の原型が見えてくる。

2021/01/06

抹茶モナカ

『銃』、『火』の2作品を収録。拳銃自殺の現場から銃を持ち帰った大学生の心の動きを描いた『銃』、カウンセラーに告白する文体で女性の歪な恋愛体験が描かれる『火』。2作品とも主人公の内面、自意識に銃だったり、火だったりを抱えた事による物語なのだろう。デビュー作から「悪」を取り扱っていて、現在も「悪」について描いている中村文則さん。何処か、作家に憧れている文学青年の習作のような初々しさを残したまま、今も第一線にいるのは「悪」というテーマでデビュー当初から戦い続けているからかもしれない。

2016/11/19

hit4papa

人が、ものに魅入られ、執着し、徐々に壊れていく様を描いた作品です。よくあるテーマであって、文学作品としてお目にかかります。本作品の場合は、タイトルの通り「銃」。著者のデビュー作となる本作品は、以降の作品のまさしく原点と言えます。自身の内的世界に閉じ籠って世間と隔絶しながら、「孤独」ではかたずけられない壊れた感情に支配されている。そんな登場人物たちが、著者の作品には多くみられます。ラストは、ただただ鮮烈です。しかしながら、どうもどこかで読んだり、観たりしたように思えるのですよ。まぁ、そこはデビュー作なので。

2020/02/25

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