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かめくん (河出文庫)

かめくん (河出文庫)

かめくん (河出文庫)

作家
北野勇作
出版社
河出書房新社
発売日
2012-08-04
ISBN
9784309411675
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かめくん (河出文庫) / 感想・レビュー

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かみぶくろ

日常に戦争が溶け込んでいる現実か仮想かも分からない世界でかめくんが日々を柔らかく穏やかに過ごす物語だが、語っていることはやたらと深遠。かめくんはかめくんでありかめくんでしかない、とな。文章もユーモアが効いていて、かなりの秀作。

2016/03/26

Bugsy Malone

かめくんは模造亀。かめくんの日常は、図書館で本やビデオを借りたりフォークリフトを運転したり、たまにはザリガニと戦ったり。時には少年や女子高生から『あ、かめ』と指をさされたりもするけれど、かめくんはかめだから怒らない。どうして存在しているのか何処へ行こうとしているのか、自分が解らないかめくんの達観と諦めが同居したレプリカメの思考には、とてつもない寂しさを覚える傍ら、ぽっ、と心に灯る温かさをも感じる。チョロっとしたSF・特撮ネタもちょっと嬉しい、大変良質なAI小説でした。

2018/03/31

s-kozy

北野勇作さん、初読み。chacoさんの感想から手に取りました。2001年の日本SF大賞受賞作品です。いやぁ、すごい作家がいたもんですね。自分の知っていることや見えていることって本当に狭いんだなと改めて思わされました。かめくんは「自分がほんもののカメではないことを知っている模造亀(レプリカメ)」なんです。そんなかめくんの日常を見ている内にいつの間にか人間の意識や意思決定を支えているものって何?などと考えさられてしまう。辻村深月さんの「凍りのくじら」風に表現すれば「SF(すごーく不思議)な物語」です。

2015/05/25

MICK KICHI

カメは甲羅人間の夢を見るか?のフレーズにやられました。ほのぼのムードで進むかと思いきや、ブレードランナーを思わせる実存の儚さを感じてしまう作品。かめはかめであって、それ以外の何ものでもない。万年かけて甲羅に蓄積した記憶が、その個体のアイデンティティそのものになる。甲羅以外はモジュレーターとして、世代交代して行く設定がなかなか切なくて、ディック的な世界観にかめくんの運命を投影してしまう。かめくんの外見が外来種じゃなくて、クサガメのイメージなのがまた良くて…

2020/06/18

アキ・ラメーテ@家捨亭半為飯

2本足で歩く模造亀(レプリカメ)のかめくん。歩くだけでなく、フォークリフトを運転して倉庫で働き、本を読み、そして考える。思い出せそうで思い出せない記憶。覚えていない昔のこと。その時が来ればきっと思い出す。なぜなら、かめくんはそのように作られているから。ほのぼのとした日常系の話かと思いきや、木星の戦争などSFが入り込んでいる。徐々に明らかになるかめくんの役割と作られたわけ。なぜだか、読んでいて切ない気持ちになる。私もかめくんと友達になりたい。

2017/10/21

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