ヴォイセズ/ヴァニーユ/太陽の涙 (河出文庫)
ヴォイセズ/ヴァニーユ/太陽の涙 (河出文庫) / 感想・レビュー
James Hayashi
4つの短編・中編集だがかなり深い。性描写はかなり繊細に。原発は抽象的に。しかし本質を抉り出すかの様な文体。難しい。
2021/01/21
ちぇけら
からだじゅうの襞を感じる夜に、肌の傷は触れると敏感なのだから、あなたが入ってきたときも、ゆめをみていた。あなたの不在にあらゆる感覚が研ぎ澄まされて、やがて鋭い快感は感覚を通過してdirectでわたしに刺さって脳天まで痺れる。「噛んで。傷を噛んで」どこまでも鋭くなれる気がして、傷はわたしのしるしだった。beerを垂れ流したすべての鳥肌があなたを感じすぎて、湿った空洞は音をたてて湿る。ねえ、今夜わたしたちどこまででもいける。ひとりぼっちの傷だらけの肌が吸いあって離れないように、毛布の膜のなかで、ねえ、あなた。
2019/07/04
rakim
性が感情を伴って豊かになっていくものじゃないこともある。身体の欲求だけじゃないこともある。パーソナルな関係性のない性を求める感情は女性にも確かにあるのでしょう。行きずりだからこその濃密さは後にどのようにでも自己完結できるものだから。たまらなく五感が研ぎ澄まされそうな「ヴォイセズ」、喪失を愛おしみ再生は元に戻ることじゃないと気がつかせる「ヴァニーユ」、原発の根本的な疑問にも思える「太陽の涙」。どれも好き。
2020/04/20
k.kishida
「東京プリズン」が評判になり知った作家さんです。これまでどんな作品を書いているんだろうと、初期の作品をいくつか読んでいます。「感覚」がとんがっていくというか、強烈に光り輝いていくというかそういう印象ですね。「聴覚」や「触覚」といった感覚を極限まで削り取っていく、そのときの感じが表現されている、新鮮な作品でした。
2014/02/06
Y
△
2017/01/13
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