祝福 (河出文庫)
祝福 (河出文庫) / 感想・レビュー
hit4papa
読み終えると一抹の物悲しさを感じる著者らしい短編集です。「僕は落ち着きがない」、「ジャージの二人」のスピンオフを含む短めの10作品が収録されています。銀行強盗に遭遇した女子が回想する高校時代の一コマ「噛みながら」、顔見知り程度の知人との初めての釣り「海の男」、社宅で母の帰宅を待つ姉妹「十時間」が良いです。特に「噛みながら」は、ふとしたきっかけで、封印された過去が沸々と湧き上がる様に、共感してしまいました。主人公は、”人を噛む”という当時の衝撃的な思いに突き動かされて、強盗に対し大胆な行動に出るのです。
2021/05/11
アマニョッキ
きたるべき日にむけてぼちぼち再読中。女主人公VS男主人公、交互に交わされる10篇の紅白短篇競演集。毎回心にひびく作品が違うというナガシマジックにどっぷりはまる心地よさ。今回は「海の男」から「十時間」への振り幅にあらためて感動。紅白アーティストに例えると、奥田民生からのちあきなおみへの流れのような。あれ?民生くんとちあきさんって紅白出演してましたっけ?まあイキフン?つーかフンイキ?つかフィーリング?ああ、あらかじめわかるこのどうでもよさがわたしを救うんだなーこれが。
2019/05/22
いちろく
紹介していただいた本。日常を淡々と何の掴みどころも無い状況を描いているだけなのに、何故ページを捲ってしまうのだろう。解るわ、という自分自身の経験と重なる所や、共感する部分に惹かれている事は確か。理解出来る出来ないではなく、世界感そのモノを楽しむような感覚。捉え方なんて色々ある。それを教えてくれる感じがする。
2017/03/31
たぬ
☆4 長嶋氏6冊目。なんてことのないありふれた(「嚙みながら」はなんてことありすぎてるけど)日常の描写が10編。そういうこともあるよね、その気持ちよくわかる。ちょいちょい共感ポイントがあるからかな、読了直後じゃなく少し経ってからのほうが「また読みたい」って気持ちが強まるのは。
2021/09/13
アマニョッキ
読友さんに薦めたとたん自分にも火がついた。読書不振を吹っ飛ばす長嶋有パワー。一晩で読む。やっぱり好きだ。好きすぎだ。好きすぎて好きすぎて震える。(西野カナか!)今回も(どうでも)いい言葉をたくさんもらった。だけど、このどうでもいい言葉が世界を救っちゃったりするのかも!と思わせるのですよ長嶋有は。本当はそんなことないって分かってますよ。だけど少なくとも私は救われちゃうのです。出会えてよかった長嶋有!そして小沢健二!
2017/03/31
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