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塩一トンの読書 (河出文庫 す 4-11)

塩一トンの読書 (河出文庫 す 4-11)

塩一トンの読書 (河出文庫 す 4-11)

作家
須賀敦子
出版社
河出書房新社
発売日
2014-10-07
ISBN
9784309413198
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塩一トンの読書 (河出文庫 す 4-11) / 感想・レビュー

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はっせー

初めての須賀さんの本。須賀さんの文章は優しく美しい!まるで太陽のような文章だった。タイトルにある塩一トンの話は、イタリア人の姑に言われた言葉である。塩一トンはとても舐め尽くすのに時間がかかる。そのぐらい時間をかけて人と接しないといけないということわざ。それを須賀さんがアレンジして、古典や名著は塩一トン舐め尽くすぐらい時間をかけて読むといろんな発見がある。この考えに基づいて、色んな本の感想をまとめている。ここで書かれた谷崎潤一郎さんの細雪を源氏物語を絡めて感想を書いていて、細雪も読みたくなったのである!

2021/11/07

シナモン

上質な言葉で綴られる奥深い本の世界に背すじがしゃんとする思いでした。あれもこれも知らない本ばかりで恥ずかしくなりますが、その分これから先の読書の楽しみは増えました。「細雪」の分析が興味深いです。ぜひ読んでみなくては。塩一トンを舐める気持ちでいろんな本を味わいたい。

2023/04/20

ユメ

「ひとりの人を理解するまでには、すくなくとも、一トンの塩をいっしょに舐めなければだめなのよ」イタリア人の姑から贈られた喩えを、著者は書物を読むという文脈において引用する。苦労する、という意味での「塩を舐める」という行為が「一トン」にも及ぶ。私の読書はその遥か手前だ。千冊のあらすじを語れるより、百冊を深く読みこむ方が読書人生を豊かにしてくれると忘れずにいたい。須賀さんの格調高い文章を読んでいるだけで心が満たされてくるが、ここに留まって、論じられた本を知った気になっていてはだめだ。自分できちんと塩を舐めねば。

2015/04/28

Kajitt22

暮れから新年にかけて、ゆっくりだけど久しぶりに須賀敦子さんの本を読み、気持ちが静かになった。1990年台はじめ頃だったか、ふと手に取った『ミラノ霧の風景』の端正で喪失感の濃い文章に魅せられて、それから数年須賀さんのエッセイが刊行されるを心待ちに読んだ記憶がある。ここ何年か、その当時のエッセイに出てくる作家「タブッキ」や「ユルスナール」の著作に出会い魅了されている。この晩年のエッセイも書評や作家評があり、いつかその本たちとも出会えるのを楽しみにしている。

2021/01/05

aika

本を開いて、プロローグの冒頭に触れた瞬間から、須賀敦子さんの世界にすっと包み込まれるような、体温のあるこの不思議な感覚が大好きです。一トンの塩を舐めるように、じっくりと時間をかけて対峙するように読書、特に古典を読むことへの覚悟が伝わってきます。多くが知らない作品の書評でしたが、イタリア古典から一葉や『細雪』などの日本文学、気鋭の中国文学にまで及ぶ範囲の広さには感嘆です。その全てに、須賀さんご自身の生活や来し方から滲むような、苦境にあったり、蔑まれている人への優しい眼差しに、温かく真摯な気持ちになります。

2018/11/03

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