想像ラジオ (河出文庫 い 18-4)
想像ラジオ (河出文庫 い 18-4) / 感想・レビュー
yoshida
東日本大震災を背景に、死者と生者の関係を描き出す。震災とは関係ないが、社会人3年目で自死してしまった同期を思い出した。彼のことは忘れたことはない。当日の夜に電話で事実を知らされた。一瞬、悪い冗談かと思った。しかしそんな冗談はあり得ない。葬儀の日に現実を思い知った。彼の行動を察知出来なかった私は人との距離感の取り方が分からなくなった。彼のことは胸から消えることはない。いま思うことは大事な人としっかり向き合うこと。今日と同じ日常が再び訪れるとは限らない。毎日を大事に生きる。その当たり前の事実を再び思いだした。
2016/04/01
こーた
ラジオなのである。良くも悪くも。ライターの武田砂鉄さんが以前どこかで、ラジオは真剣に聴いてるひともいれば、途中から聴きはじめたひと、さらにはほんとは別の番組を聴きたいのに、たまたま換えるタイミングを失って(運転中とかで)聴きたくもないのに掛かっているから仕方なく聴いてる、というひとまでいて、そういうひとたちに向けてもしゃべっている、というようなことを書いていたけれど、この小説にはそんなラジオの特性がじつによく著されているとおもう。それがはたして小説という媒体と合ってるかは疑わしいけれど。⇒
2020/11/07
あきら
背景があまりにも大きすぎるから、読むのも感想書くのも躊躇っていたけど、読んでよかった。読めてよかった。 物語自体の構成や着想も素晴らしいと思う。 ちょっとずれてるかもしれないけど、確か有名な映画で「心の中の音楽だけは誰にも消せない」みたいなニュアンスのフレーズがあって、それを思い出しました。
2021/03/26
おしゃべりメガネ
残念ながら、最後の最後までよくわからない作品でした。わかる、わからないではなく、雰囲気を味わう作品なんでしょうが、それにしてもなんともいえない作風でした。単純にいって自分には合わなかったんだなぁと。読むタイミングもあるでしょうが、きっといつ読んでも合わない作品は少なからず存在するワケでして、本作は自分にとって、残念ながらそういうトコに位置づけされてしまいます。自分の読み込みが浅いせいか、どうして本作が雑誌「ダ・ヴィンチ」の2013プラチナ本や、2014本屋大賞候補作なのか、申し訳ありませんが「??」です。
2015/02/24
佐々陽太朗(K.Tsubota)
私はあちら側の人間ではない。私には想像ラジオが聞こえない。2011年3月11日の翌日、私は瀬戸内の穏やかな海をみながら島々を巡っていた。彼の地ではあれほどの惨状であったにもかかわらず・・・である。まったく無関心であったわけではない。あれほどの地異であれば、いかに縁もゆかりもないといっても心に重くのしかかる。私のとったのんびりとした行為は、私に意味もなく罪悪感をもたらした。そうではあっても、私はこちら側の人間なのだ。私には想像ラジオが聞こえない。
2015/07/15
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