憤死 (河出文庫 わ 1-4)
憤死 (河出文庫 わ 1-4) / 感想・レビュー
さてさて
『憤死とはどのような死に方だろう』と考えを巡らせる主人公。そんな主人公の身近に起こったある出来事をきっかけに『憤死』という言葉の意味を感じ入るその結末。そんな長短が極端な4編の作品から構成されるこの作品。人生の奥深さを感じる豊潤な余韻が残るこの作品。読書の短い時間の中でいろんなことを考えさせてくれたこの作品。それは、人生ってそうだね、そうだよね、そんなものかもしれないね、という思いに包まれるその作品世界。「憤死」という一見ギョッ!とする書名の中に綴られる、とても印象深く、そして読み応えのある逸品でした。
2021/02/09
takaC
読解力が求められる「こわい話」って・・・
2017/10/18
にいにい
綿矢りささん、かなり昔に「蹴りたい背中」を読んで以来だな。読メにも登録してない。今回は、怖い話ということで手に取った一冊。この怖さいいなぁ。好きなタイプの怖さ満載の短篇4話。「おとな」「トイレの懺悔室」のじわっとする感じ。「憤死」は、ためになった。本当に憤死はあり得ると信じれた。最も、気に入ったのは、「人生ゲーム」。本当に幸せな人生って何かな?。悩みや他愛無いことを共有できる聞き手は誰か?。深い......。綿矢さんの作風って、こんな風だったかな。目から鱗の作品。読んで良かった。
2015/04/01
黒瀬
『ほかのどんなことは忘れても、おぼえていますよ』収録されている四編はいずれも、どこかがおかしく、ゾッとするのだがホラー小説ではない。不思議である。表題作『憤死』は自殺未遂をした佳穂の理解しがたい怒り方。『トイレの懺悔室』で主人公に許しを乞う同級生。『人生ゲーム』に現れた高校生の兄貴。『おとな』で語るりさちゃん。まるで全てが夢オチのようで、間違いなくそこに存在した現実。これは紛れもなく、怖い話だ。
2019/10/28
ままこ
端正な文章で綴られるゾクっとする4つの短編集。「おとな」“うひゃっ”森見さんの解説をそのまま引用したい。「トイレの懺悔」少年時代のノスタルジックな思い出から一転、ラスト完全なるホラー。「憤死」引きがある冒頭。尊大な態度も、あそこまで振り切っているとかえって清々しいな。ラストのシュールな一文も面白い。「人生ゲーム」あの出会いからこう繋がっていくのか…。可愛らしい表紙からは、想像つかない世界が広がっている。繊細で残酷な奥深いホラーを堪能。
2022/10/03
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