巴里ひとりある記 (河出文庫 た 35-2)
巴里ひとりある記 (河出文庫 た 35-2) / 感想・レビュー
新田新一
高峰秀子万歳!本当に面白い本です。最近読んだ本で一番面白いと感じました。彼女が初めてパリに行った時のことが、ユーモアを持って生き生きと描かれています。読んでいて可笑しいところが結構あって、何度も噴き出しました。高峰秀子が描いたイラストも多く収録されています。可愛くて洒落たタッチで感心しました。ユーモアにくるんであり、見落としがちなのですが、異国で一人になって、自分を見直してみたいという切実な気持ちも伝わってきて、心を打たれます。昔のパリの写真も多くて、自分が初めてパリに行った時のことを思い出しながら読了。
2024/08/18
ごへいもち
単独で読んだら若い女優のなんてことない浮ついた感さえあるエッセイだけど「私の渡世日記」を読んだので当時どれだけ重圧に息苦しさを感じていたのかわかるから巴里で一人暮らしできて本当に良かったねと思う。
2020/03/26
駄目男
俳優で名エッセイストといえば沢村貞子と高峰秀子しか思い浮かばない。確か日本初のカラー映画は高峰秀子主演の「カルメン故郷に帰る」だったと思うが、撮影後の昭和27年、高峰は一人でパリに飛び、半年間も本名で生活して書いた初のエッセイが本作となる。日本映画最高のギャラを取った高峰は当時27歳だが、既に社会人として22年、200本以上の映画に出演するベテラン女優で、外遊する前には持ち家を売って旅立ったというから凄い。よく子役は大成しないというが長門裕之と高峰だけは別格だろう。
2022/06/19
さすらいのアリクイ
女優・高峰秀子が1951年から52年にかけてパリなど海外で7ヶ月過ごしたことが書かれた本。この頃高峰さんはすでに映画界で大スターだったはずですが、日本での暮らしよりパリなどでの未知の世界での暮らしを選択したことに何かあったんだろうなと。そのあたりのことには触れられていませんが。パリでの買い物、タクシーの運転の荒さやパリに住む人の生活についての観察、貪欲にパリの人たちに触れあう高峰さんの姿勢など、書かれている内容にアグレッシブなものを感じる。現実を変え、人生を磨くための移住的な旅だったのかもと僕は思います。
2019/08/16
kogufuji
ただのひとりの女性としてのパリの日常が生き生きと輝いている。寂しさもただの女性としての実感になる。楽しそうだな、満たされてるのかな、と思うときに同時に日本ではそうではなかったのかなとも思う。
2021/06/16
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