『吾輩は猫である』殺人事件 (河出文庫 お 34-1)
『吾輩は猫である』殺人事件 (河出文庫 お 34-1) / 感想・レビュー
yumiha
600ページ余。しかもぎっしり文字が詰め込まれている。読了できるか心配したが、「見た様な」や「六つかしい」などの表記に、これは漱石の文体をなぞっているんだと分かり、「音から入ると名調子です」(by古井由吉)のアドバイスに従ったら読み易くなった。辞書に出てこない漢語や四文字熟語も、大まかな推察のまま読み進む。「吾輩」や「伯爵」「将軍」「マダム」そのうえ「ホームズ」「ワトソン」と猫たちが主役で推理し冒険する話に引き込まれ、次々と読み進められた。前半は苦沙弥先生殺害をめぐるミステリーで後半はSFかな。
2021/07/11
とし
死んだはずの猫が、、、。「吾輩は猫である」をパロディー化したミステリー小説です。ホームズ、ワトソンなど出てきてそれぞれの掛け合いが面白かったです。魅力的な猫キャラクターが光っています。文体も漱石を真似たのか難しく私には難解でしたが、よく読んでみると独特のユーモアがあふれています。もし漱石がこの作品を読んだらどう思うのかな。ずいぶん前に読んだ「吾輩は猫である」をもう一度読んでみようかな、なんて思いました。本作品は長いので読むのは大変でしたが、とても勉強になりました。また猫好きにはたまらない作品だと思います。
2016/04/11
みっちゃんondrums
上海に蘇った「吾輩」は、主人であった苦沙弥先生が殺されたことを知り、租界の公園に集う各国出身の猫たちと謎を解こうとする。探偵冒険小説?と思わせて、そこは奥泉センセぇ、幻想風味もたっぷりと盛り込んで、ラストに向けて大きな仕掛けを出す。文明、人間、日本人批評も忘れてはいない。恥ずかしながら『猫』をちゃんと読んでいないけれど、本家の語り口が徹底的に踏襲されていて、知的諧謔の雰囲気に浸れた。恋もある。「五千年ーー。そう、五千年経ったらまた妾(わたし)たちは遇う」ニャー。著者と柄谷行人氏との対談も◎。→以下メモ
2016/06/24
鳩羽
『吾輩は猫である』の主人公の猫は甕で溺れたところを助けられ、気づくと上海にいた。そして飼い主だった苦沙味先生が殺害されたことを知る。租界で出会った猫たちと親しくなった「名無し」は、苦沙味殺害の真相を明らかにするべく、推理合戦に挑む。…『吾輩は〜』を読んでないので登場人物が分からなかったが、推理小説から冒険小説、SF小説と鮮やかに展開していくところや、もともとパロディ小説でもあるけれど『夢十夜』との関わりもあって、濃密な小説体験ができる本だった。猫の所在の無さみたいなものへの、魅力も感じた。
2016/05/08
記憶喪失した男
文体は百点。読みづらいかと最初は思ったが、文体の面白さでぐいぐい読める。
2016/10/14
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