憂鬱なる党派 下 (河出文庫 た 13-15)
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憂鬱なる党派 下 (河出文庫 た 13-15) / 感想・レビュー
遥かなる想い
下降思考の苦悩教と言われる著者の性向が あちこちに散見される 作品だった。 学生運動家だった若者たちが、七年経って 集い、何を思うのか? この時代の 知識人の 傲慢さと 挫折感が 重く伝わる…学生運動がはじけた後の喪失感、憂鬱感が 昭和のこの時代の特徴なのだろうか…女性陣の諦念感も 印象的な 作品だった。
2020/02/04
風に吹かれて
1965年(昭和40年)11月刊。勁い作品。私には何も語れない。刊行時の「作者のことば」を記す。≪太陽の季節を謳歌した青年たちだけが戦後いたのではない。実は、憂鬱なる党派と称されるべき一群の青年たちもいた。私は思う、青年はいつの時代にも時代の矛盾にもっともはげしく引き裂かれることによって、もっとも本質的なものをつかむ存在だと。私はこの作品で、敗戦の苦痛はまだ癒えず、しかも新しい理念は形成されないままにお互いに角逐し、分裂し、やがて諸共についえ去った憂鬱な青春にも、一片の真実があったことを証明したい≫
2016/10/01
Fancy Koh(旧SMOKE)
革命に関する友人との会話はドストエフスキーの「悪霊」ようでもあり、せっかく書いた手記を出版できずにたらいまわしされるのはカフカの「審判」のようでもあり、観念が愚かな腐臭がするのはサルトルの「自由への道」のようでもあり。ああ、とにかく傑作だ。戦争に傷つき、なんとか自分自身を保とうとすがった革命闘争にやぶれ、自分の身の置きどころがなくなった若者たちは破滅していく。「たたきつぶせ!」と主人公は叫ぶ。ああ、なにもかも、遅すぎる。本当だ。彼の描いた絶望は今もあちらこちらで縮図のように散らばっている気がする。
2016/07/19
ちゃんむねZWSN
太宰治の『人間失格』を読んだ時の既視感をおぼえた。良心の知識人たらんとした西村が、徐々に希望を失い転落する様が、葉蔵のそれと被っているように感じた。人間の内面を覗き込むことの重要性。あらゆることが表面的な現代社会に慣れた私達にはキツいものだろう。まして若い人達には題名どおりの「憂鬱なる青春」と映るだろう。しかし青春ゆえの頭でっかち、向こう見ず、そして疲弊感・・それらに気分だけでも寄り添い、また振り返ることも時には必要なのだと思う。『憂鬱なる党派』の足跡に、今日にも通ずる矛盾が刻まれているように感じるから。
2017/01/26
みやた
言葉にならんくらい良い本だった。読み終わってしまった。
2016/11/27
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