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まちあわせ (河出文庫 ゆ 3-2)

まちあわせ (河出文庫 ゆ 3-2)

まちあわせ (河出文庫 ゆ 3-2)

作家
柳美里
出版社
河出書房新社
発売日
2016-11-08
ISBN
9784309414935
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まちあわせ (河出文庫 ゆ 3-2) / 感想・レビュー

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はるを

🌟🌟🌟⭐︎⭐︎。視点の置き方が独特でちょっと柴崎友香と似ている。例えば車内の喧騒と自殺サイトか醸し出す空気感とのギャップは理解出来るし面白いと思う。女性同士の友達付き合いの煩わしさや百音の心情を丁寧に描写していく人物造形はとても良いと思う。慧とスタバで会うシーンも良かった。けれど、やっぱりどうして百音が自殺したかったのか、その動機が全然分からずじまいなのが最後まで引っかかった。後半、サイトの自殺志願者達との交流や百音の家族環境の設定などちょっとありきたり過ぎた子供騙しのような点が非常に残念だった。

2021/02/19

ワニニ

駅の、電車内のアナウンス、生活する私達に、ただひたすらに流れさ続ける。ニュース番組の音声、乗客達の会話会話… 止めどなく聞こえてくる生きている音が、聞こえてくるのに聞こえない、世の中と自分との隔絶された感じ。自分は本当に“生きている”んだろうか?学校カースト、家庭不和、理由はたくさんあるのだろうが、無力感と少しの希望がぐるぐるになっている。軽く見せよう、出しゃばらずに合わせよう、そうして、知らずに食いしばっている、少女の危うさか何か懐かしい。事態はもっと深刻で、色々乗り越えた柳美里が書いていることに評価。

2016/12/05

kera1019

死にたいと思う事はしょっちゅうありますが、自分が死ぬという事に頓着しないので、自死を選ぶということは想像もできません。でもほんの少しバランスが違ったり、タイミングが変わるだけで死にたいと思うことが現実味を帯びてそこに陥った時、気持ちを立て直すのはやっぱり難しいし、救われないかもしれません… 向き合うには重たいテーマですが生きていくという事を少しだけ考えさせられました。

2019/10/17

桜もち 太郎

生と死をテーマにしたとても重い作品です。主人公の百音は高校1年生で学校ではいじめにあい、家庭では両親の不仲。居場所がない彼女は日頃から携帯で自殺サイトを見ています。「死はどこよりも近い。どこからだって行ける。生きることなんて、いつだって中断できる・・・」死への希求が続きます。自殺サイトでまちあわせた四人が鄙びた神社前で練炭自殺します。しかし彼女は死にきれませんでした。「人生を生きる。わたしはこの人生を生きなければならない」、彼女を生に向かわせたものは何でしょうか。→

2020/01/04

玉葱

社会・世界からの疎外感が強くせり出してくる。浮かんでは消えるように描かれるアナウンス・会話・思考はその疎外感を強調している。そう、百音の一人称で描かれる思考もその場限りのものであり、だから、百音は社会と世界と、そして自分に疎外されている。ほとんどが解決しない本作品のうち、唯一上向きになったのは、百音が自分を疎外しなくなったことだ。と僕は思う。自分を、自分の体を、自分のことだと思えたからこそ、「The rainy season will beginn soon.」に、彼女は涙したのではないでしょうか。

2016/12/10

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