みだら英泉 (河出文庫 み 29-2)
みだら英泉 (河出文庫 み 29-2) / 感想・レビュー
mii22.
皆川さんの江戸時代ものは粋で艶っぽい。文化文政時代、美人画や枕絵に北斎や歌川派、師匠の英山とも違う「英泉の女」をひたすら追い求めた浮世絵師、渓斎英泉。挑発的で自堕落だけど粋で美しく乱れ咲く「英泉の女」が生まれるまでを、絵師の業とそれに絡みとられた三人の妹を通して描かれている。江戸言葉、風俗、情緒も小気味よく、凄絶な絵師のエゴと情熱と退廃の生きざまに圧倒されながらも終盤では切なさで胸を締め付けられる思いだった。
2017/05/28
こばまり
冒頭から終いまで漂うエロティシズムに胸高鳴りっ放し。流れるような江戸ことばにもうっとり。嗚呼、益々皆川ワールドに搦め捕られてしまう。読み終えてあのゴッホの背景のと知る。浅学恥ずかし。
2017/04/13
いたろう
朝井まかて「眩」、梶よう子「北斎まんだら」で、北斎の娘、お栄(葛飾応為)と腐れ縁の関係のように描かれていた渓斎英泉が主役ということで、興味を覚えて手に取った。この小説でもお栄は出てくるが、登場する場面はあまり多くない。それでも、お互い言いたい放題だが、さっぱりとして、まるで男同士のような友情が気持ちいい。そして、この小説では、お栄よりも三人の妹との関わりが肝。「眩」では、三人の妹たちは、芸者として描かれていたが、ここでは三者三様。女に慣れているはずの英泉が、妹という女との付き合い方に戸惑う姿がまた面白い。
2017/07/18
shizuka
私と善ちゃんとの出会いは杉浦日向子師匠を介して。あの善ちゃんとこちらの英泉と同一人物とは思えない。どっちが本当の善ちゃん?日向子師匠はあくまでも北斎ありき、善ちゃんはコミカルでお栄と北斎に色を添える脇役。あんなのほほんとしていた善ちゃん、北斎から離れたらこんなにも苦悩し、妹たちとの関係に戸惑い不器用な生活をしていたんだなあ。浮世絵が好きで好きでたまらなくて、でもなかなか上手くいかなくて。一番上の妹との関係が少し切ない。合間合間に現れるお栄は相変わらず伝法で蓮っ葉。さすが一本芯が通った姉さんだ。しびれるね。
2017/03/15
マムみかん(*感想記入少なめです*)
絵師の「業」という、濃ゆい世界を堪能。 本当に芸術家って、当人もだけれど、周囲の人たちの日常を破壊しまくりですね(笑)。 私は長女なので、まっとうな暮らしを求めていたお津賀の気持ちに感情移入してしまいました。 変化朝顔の3つの特性を、3人の妹の性質に当てはめているのが上手いです。 何枚か、実物の絵を入れてほしかったです☆
2017/04/02
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