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坊っちゃん忍者幕末見聞録 (河出文庫 お 34-2)

坊っちゃん忍者幕末見聞録 (河出文庫 お 34-2)

坊っちゃん忍者幕末見聞録 (河出文庫 お 34-2)

作家
奥泉光
出版社
河出書房新社
発売日
2017-04-06
ISBN
9784309415253
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坊っちゃん忍者幕末見聞録 (河出文庫 お 34-2) / 感想・レビュー

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さらば火野正平・寺

夏目漱石『坊っちゃん』オマージュ小説。坊っちゃんに相当する主人公が松吉という幕末の出羽の忍者。坊っちゃん同様、彼のモノローグで物語は進む。漱石のパスティーシュで至る所ユーモアを含んだ文章は一文一文ぐんぐん読めば読むほどに話が進み、読むほどに物語に吸い込まれる。この本を動かしているのは自分ではなかろうかと思えて楽しい。他の作家もこんな感じで時代小説を書けばいいのに、と思うが、やはりユーモアって難しいんだろうなあ。しかし9章から筒井康隆『ヤマザキ』みたいな異変が起こる。『ヤマザキ』同様「説明はないのじゃ」。

2022/01/26

本虫雪山

奥泉節に触れるだけでずっとにんまりしていられる自分がレビューを書いても甘々になるだけだが、面白いと感じるんだからしょうがない。役に立たない忍術を仕込まれた松吉とお調子者の寅太郎が幕末の尊皇攘夷に巻き込まれていくようないかないような。何といっても松吉のシャイで実直な性格が可愛らしい。お馴染みの沖田総司や坂本龍馬もいいキャラで、命がけのやり取りもあるのになぜかほんわかしている。奥泉さんらしい遊び心も後半に出てきて楽しい。解説は万城目学だが、"とっぴんぱらり"や町田康の"告白"がハマった人にはぜひ読んでほしい!

2017/05/14

Majnun

「猫」に続き、絶版になっていた奥泉本を河出さんで復刊してくれて本当にありがたい。これはユーモア小説であって、タイトルから予想される歴史改変要素はない。地の文と会話文で方言と標準語が正確に入れ替わっていくところがあとからじわじわくる。標準語の部分も徐々に脳内で変換できるようになっていくから、まるで自分が聞き知らぬ方言で思考しているような気分になる。面白い読書体験だ。他の小説でこのような言語処理をしている例があるだろうか、とずっと考えているが思いつかない。

2017/05/17

pitch

幕末。庄内出身のへなちょこ忍者がなぜか医者を目指すことになり、江戸を目指すも京都にたどり着いてあれやこれやの騒動に巻き込まれる話。坊ちゃん文体の語り口が面白い。あとがきによるとまだ続くようで、期待しよう。個人的には現代とのスクランブルはなくてもいいんじゃないかと思った。

2017/05/10

陶子

史実を噛み砕いて、小説にとけこませることができる文章力がすごい。幕末の京都の様子が、とてもよくわかった。エンターテイメントの要素のある、物語だが、文学にまで達していると思う。面白くて、考え深い。

2021/10/08

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