ザーッと降って、からりと晴れて (河出文庫 は 13-8)
ザーッと降って、からりと晴れて (河出文庫 は 13-8) / 感想・レビュー
yoshida
読みやすい連作短編集。脚本家の方が執筆されたので、分かりやすいということがあるかも知れない。様々な日常を不器用に生きる人々。読者は彼等に自身を重ねる。作者のメッセージ、人生は間違えられるから素晴らしい、何が起きるか最後まで分からないに共感するのだ。実際、私の人生も間違いばかりだし、間違えない人などいないだろう。それでも生きていく。それにこの先悪いことばかりでも、良いことばかりでもないだろう。読みやすいだけに、メッセージが読者によく伝わる作品だと思う。シンプルで読みやすく当たり前の事に気づかせてくれる作品。
2018/04/29
びす男
ニューカレドニアという島が、5つの短編の鍵を握っている。表題はその島の気候を表している■別々に見える物語が、読み進めると関連し合っている。仕事以外が似合わない男性、仕事をつかみ損ねたシナリオ作家、婚約相手と別れた女性…。共通しているのは、どの主人公も何かに失敗している点だ■物語は彼らの失敗から始まるが、ハッピーエンドに収まる。激しい雨の後に、からりと晴れる空のように■「人生は、間違えられるからこそ素晴らしいんだ」。表紙の絵ような景色が見られるなら、雨が降るのも悪くない。そう思わせてくれる一冊だった。
2017/11/10
とろこ
連作短編集。どの話でも、登場人物は一所懸命に生きている。ただ、皆、少し不器用だ。それ故に、周囲から浮いてしまったり、恋に行き詰まったり、人生に疑問を持ったりしてしまう。だが、人との出逢いや再会、新しいことへの挑戦などを通して折り合いをつけてゆく。さらりと読みやすく、2話目の「犯人は、ニューカレドニア」では笑ってしまった。人生、思い通りにゆかないことも多いけれど、時には、一歩前へ踏み出す勇気が必要なのかもしれない。雨も、常にザーッと降ってからりと晴れるとは限らないけれど、からりとした気持ちで生きてゆきたい。
2018/07/16
佐島楓
最初から突っ走るわけではなく、だんだん物語のつながりが見えてきて、いいせりふが出てきて・・・読み終わったとき、本当に陽が射してきたのを見た気がした。
2017/06/07
future4227
ニューカレドニアをキーワードに、自分の生き方を模索する人々が織り成す連作短編集。それぞれの話にチラッと出てくる人が別の話で主人公になり、読み進めるにつれて少しずついろんな人が結び付いていく。誰だって自分の人生に疑問を感じる、ふとした瞬間があるはず。その時に今までの人生をかなぐり捨てて、大きな一歩を踏み出せるかどうか…その勇気を与えてくれるニューカレドニア。南国のスコールのように悲しいときは思いっきり泣いて、あとはすきっり晴れやかに生きていこう。そんな夢と希望を与えてくれる天国に一番近い島。
2018/09/04
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