黒猫ジュリエットの話 (河出文庫)
黒猫ジュリエットの話 (河出文庫) / 感想・レビュー
青蓮
森茉莉の猫にまつわる話を集めたエッセイ。表題作は「吾輩は黒猫ジュリエット。」から始まる飼い猫目線による森茉莉の話で、夏目漱石の「吾輩は猫である」を彷彿とさせる。ぼんやりとしていて、浮世離れしているというイメージが強い彼女だけれど、表題作では鋭くかつ客観的に自己分析をしているところに驚く。巻末には室生犀星と朝子の親子が綴る森茉莉との思い出などの文章が収録されていて、こちらも楽しく読みました。やっぱり森茉莉は永遠のお嬢様なんだなぁ。彼女のエッセイは結構読んだので次は積んである小説にチャレンジしたいな。
2017/11/05
mii22.
【にゃんこ祭】私はかなりの猫キチだが、森茉莉という人もご本人でもおっしゃるほど愛すべき猫キチである。茉莉さんの作品は一冊しか読んだことないけど、森鴎外の娘で著名な小説家でありエッセイストである茉莉さんのことを失礼を承知でこう申し上げたい。私は茉莉さんにファンである以上に同士や親友というほどの親しみとシンパシーを感じてしまうと。茉莉さんのジャポネ(黒猫ジュリエット)に対する愛情溢れる文章にすっかり魅了されたが、中でも裏表紙に書かれている本文の一部が一番好きだ。何度読んでも何故か涙ぐんでしまう。⇒
2018/02/22
こばまり
ねこ×モリマリ。2要素のベン図の重なりに位置する私。楽しく読んだ。巻末に収められた室生犀星父娘による人物評がこれまた興味深かった。
2017/10/21
ユメ
森茉莉のエッセイの中から猫の登場する文章を選りすぐった本。《私はジュリエットに恋愛なんだ》と愛猫について語る言葉が、茉莉らしいなあと思う。表題作「黒猫ジュリエットの話」は、ジュリエットの目線から茉莉について語らせているが、日頃ぼんやりと夢の中に浸り、あるいは怒って沸騰している、ちょっと浮世離れしたところのある森茉莉という人が、これほど外から自分を眺める視点を持っていることに驚かされる。そんな彼女が愛猫にも師への愛を語らせているのが微笑ましく、巻末に室生犀星と室生朝子父娘の文章が収録されているのもよかった。
2017/10/18
阿部義彦
河出文庫新刊です。森茉莉さんは拾った黒猫を飼われていたそうで、表題作はその猫の一人称。「吾輩は黒猫ジュリエット。」で始まります。主人魔利の描写がまた絶妙です。(詳しくは後にのべるが、ぐうだらべえで、ものぐさで、箸にも棒にもかからない、という代物である。)魔利の猫による日常生活の身辺雑記、エスプリが効いてとても贅沢です。ロールシャッハテストを受けて全部の絵が悪魔に見える所なんて私にはウケました。結果は幼児性過多って、益々超ウケるー!です。他にも猫、動物に関するエッセイ覚え書きなども収録。
2017/11/03
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