アカガミ (河出文庫 く 16-2)
アカガミ (河出文庫 く 16-2) / 感想・レビュー
ミカママ
近未来の日本。性どころか生にさえ興味を失ってしまった若者同士を番わせて赤ん坊を作るという計画が、政府によって実行される。あり得ない設定ではないのだが、作中わざわざ「番う」「まぐわう」をこれでもかと連呼するのは、果たして窪さんの意図なのか。デビュー作以来の窪さんの一貫したテーマは通(かよ)っているし、SF分野へのチャレンジは買うが、いろいろな意味で最後までモヤモヤした今作だった。
2021/11/25
さてさて
『もしかしたら、自分は今、サツキの性器を見て興奮しているのかもしれない ー これがログの言う性欲なのだろうか』『自然に異性を求めるという情動が決定的に欠落』した若者達に光を当てるこの作品。そこには『アカガミ』により選ばれた相手と『まぐわう』ミツキの姿が描かれていました。あまりの近未来に違和感が湧き上がるこの作品。そんな物語を読めば読むほどに『アカガミ』というシステムが潜在的な恐怖感と一体となって読者に迫ってくるこの作品。緊張感の解けないその結末に、『アカガミ』という言葉がどこまでも不気味に響く作品でした。
2024/06/18
hit4papa
若者が生と性に興味を失った近未来が舞台です。自死が増加し、男女がお互いを求めなくなったというシチュエーションは、あり得る日本の姿なのかもしれません。ここでは、国が全面的に男女のカップリングをサポートしています。物語は、これに応募した見知らぬ男女の関係性が主軸となって展開します。ぎこちない二人が寝食を共にするうちにやがて愛が生まれ、”番”(つがい)となり”まぐわ”い、そして・・・。本作品は、ディストピアものとしてみて見ることができますが、ラストはもう一つ欲しいのですよ。キーマンぽい人の絡みも不満が残ります。
2022/02/23
りゅう☆
若者の性と生への興味が薄れ寿命が40歳までもたないかもしれない。好きになった相手に触れたい、抱き合いたい感情が全くないって恐ろしい。ミツキはマッチング相手と番い、まぐわって家族を作る国の対策アカガミを志願。身体検査など徹底した管理、不自由ないサツキとの生活。一緒に暮らすうちにお互い惹かれ合う。不安と怖さしかないまぐあいをやっと終えた二人が迎えた妊娠。喜びと不安の中アカガミから今まで以上の手厚い待遇。この展開に胸騒ぎしかしない。予想通りの思惑。弱い部分も含めたサツキが最後までしっかり自分を持っててよかった。
2021/01/21
mmts(マミタス)
東京オリンピックが終わった近未来の日本。しかし、若者は結婚どころか恋愛そのものを嫌悪していた。セックスを知らない若者は日に日に増加した。一方、中年はセックスの快楽に溺れた。ある日、ミツキはログに誘われて「アカガミ」に志願した。それでミツキはサツキとカップリングされた。次第にセックスに没頭し妊娠したが出産した赤ちゃんは障害児だった。いまだにログが善意なのか悪意なのか全部分からない。近未来ならばすぐに妊娠中、障害児に気付くかと。私ならば絶対に志願しないかな。自然にパートナーを見付けたいし。ただし、面白かった。
2019/04/05
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