日本怪談集 取り憑く霊 (河出文庫)
日本怪談集 取り憑く霊 (河出文庫) / 感想・レビュー
sin
銑三/“耳袋”にある。左京/今はかそけき戦争の記憶。百閒/ 疑心暗鬼を生ず。昌治/人の仄暗い情念、怪に非ず。周平/江戸の痴話、怪に非ず。綺堂/妖しき蟹。哲郎/北の情景も美しき、タクシー怪談。綺堂/侍と云う狂気。外男/蒲団に憑く…。銑三/碁を愛す共感。錬三郎/自意識過剰、怪に非ず。義一/理不尽な長靴。克彦/身勝手な男、落とし噺。乱歩/ストーカーの極み。貢太郎/妖し怖し、禍々し。由紀夫/さすらうヴァンパイア。龍之介/むじなめいた。十蘭/メスメリズム。健一/幽霊考。白鳥/通夜の夜。信夫/悋気の生き霊。
2021/08/29
Kouro-hou
『日本怪談集 奇妙な場所』の復刻分割の片割れである。動植物や霊などのカテゴリ別怪談で21篇収録。「くだんのはは」や「蒲団」の本邦怪談メジャー級から<器怪>カテゴリでそれ入れる?wな超メジャー乱歩の「人間椅子」や芥川龍之介や三島由紀夫、正宗白鳥の文豪も多数。旧仮名遣いの語り口に味がある吉田健一「幽霊」は全然怖くない幽霊譚、というか粗筋だけなら都合のよさは現代のラノベにも負けないw トリの折口信夫「生き口を問ふ女」は盛り上がったところでブッツリ未完で読者のやるせない後味がまた良い。
2020/04/26
そふぃあ
河出文庫の怪談アンソロジー2冊目。くだんという化物は不思議な魅力があり、いろんな作品に出てくるのを見るが、内田百間の「件」では主人公がくだんになっているのがユニークだった。小松左京の「くだんのはは」はグイグイ読ませる面白さと怖さがあった。<身体>の4篇は全部怖かった。乱歩の「人間椅子」はじめて読んだのだが、こんなに怖いとは。。小松左京と江戸川乱歩の凄さを味わった一冊だった。2篇からは、怖いのにどうしても続きが気になってグイグイと読んでしまう、怖い話の醍醐味を味わえる。
2020/07/30
くさてる
古式ゆかしい怪談から昭和の恐怖小説まで、優れた作品を集めたアンソロジー。既読では、結城昌治「孤独なカラス」が生理的嫌悪感まで感じる不気味さで言うことなし。初読では藤本義一「足」が昭和の雰囲気たっぷりのミステリめいた展開で引き寄せられました。他の作品も粒ぞろいで面白く読みました。
2020/12/06
澤水月
底本が本当の初出でないのが新しい読者には混乱を呼びそうだが1968発表左京「くだんのはは」→1922年の百閒「件」の並びが実にいい。第二次大戦の悪夢を背景としたシリアスさから大正の不穏ながらもとぼけた味わいへ。災厄の予言獣としてその後も西日本を中心に時折噂が流れる有名な存在、コロナ禍後にまた囁かれるだろうか。大型客船の爛熟生活描かれる久生十蘭の予言も今に重ね合わせても読める。ローティーン犯罪を描く結城昌治の孤独なカラス、読みづらいのに艶めかしい吉田健一の幽霊など収穫多。乱歩の人間椅子も何度読んでもいいわあ
2020/05/30
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