完全版 自由論: 現在性の系譜学 (河出文庫)
完全版 自由論: 現在性の系譜学 (河出文庫) / 感想・レビュー
またの名
倒錯的フィストファックが一見無関係な手作りパン即売会や町内祭りの基盤になってるのではと思考した変態思想家フーコーに依拠するので、当然議論は逮捕監視される側目線。罪が犯される前に逮捕理由を確定し「事件は会議室で作られる」のが可能になったネオリベのセキュリティ時代を早くから取り上げた本書は、オウム真理教も若者のアイデンティティの物語とする趨勢に抗して、後期フーコーが退けた排除概念をフーコーにつなげ直す。対権力の闘争現場では虚偽や捏造を平然と流されるのでポストトゥルースなんて今更という、経験から来る達観が超然。
2021/04/09
絵比 乃魅須
18年前の著作とは思えない。まさに今のことが語られている。それがこのネオリベ体制からの脱却の困難さを示しているのだが…文庫化で加わった文章も興味深い。
2019/11/02
zk
日本における研究ではフーコーとネオリベラリズム批判の文脈がまだほとんど立ち上がっていない中で「ネオリベラリズムの浸透にともなう権力行使における暴力の契機の上昇、「抑圧的側面」の再浮上、一言でいえば、「例外状態の常態化」というべき状態を浮き彫りにして、それをふたたびフーコーの議論に折り返し」た功績はあまりに大きいと思います。
2022/03/30
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ネオリベ分析・批判の嚆矢であり、セキュリティの上昇、抑圧から排除へ、世界の捏造化、といった問題設定は今でも全く古びないどころか、当時(2000年頃)よりも今の方がよりダイレクトにリアルに感じられる。いかに統治されないか、という文脈における「批判とは自発的不服従の術であり、反省された不従順であるのです。」というフーコーの言葉が益々重要性を帯びてきている気が。
2020/07/23
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