瓦礫から本を生む (河出文庫)
瓦礫から本を生む (河出文庫) / 感想・レビュー
神太郎
あの日から10年経つ。あっという間なのかようやくなのかはわからない。市内だったが今でも思い出そうと思えばはっきりと思い出せる。それくらいに強烈な出来事。僕はあまりあの日の映像は積極的には見ないタイプ。イヤとかではないがどこか躊躇われる。色々な思いがあの日にはある。本書を読んで改めて感じたことだ。そして、日本では毎回どこかで災害は起きている(今年は雪による被害にコロナだ。)。いつか忘れていくことも大切。逆にそれを忘れずそこにある人の思いを時間空間を越え伝えていくこともこれも大切。→
2021/01/11
ベル@bell-zou
音楽に癒やされ、スポーツに励まされ、辛さや悲しみをひと時でも忘れる。それらの力は必要とされ確かに存在するのだろう。では、本とは?記録し伝え残すこと。素材として垂れ流すだけのテレビやネットでは成し得ないこと。これからも“被災地“は恐らく増えていくが、本はかつての被災地から次の被災地を教訓と希望を担い繋ぐのだと思う。度々繰り返される説明がくどく感じるが取材日記であるという断りの理由と納得。↓
2020/02/23
Roko
失われてしまった人や物は戻ってきません。元々住んでいた土地に戻ることすらできない人が多いのだし、自分の命以外すべて失ってしまった人も多くいます。何年たっても「一区切り」なんてないし、「復興」なんて他所の人の言葉だと、何度も何度も繰り替えし語られます。そんな中で、ちょっとホッとできたのが、第5章の「伊坂幸太郎との対話」でした。伊坂さんは荒蝦夷の雑誌「仙台学」にエッセイを連載していて、土方さんとの仲の良さそうな会話が収められています。そして、柳美里さんの解説も、とても愛に満ちていました。
2024/10/15
椿 釦
全国の災害を見てきた著者の日記だったり、ルポだったり…。 東日本大震災がきっかけに生まれた一冊なのだろうが、始まりは阪神大震災。そこから今までの日本で起こった災害に触れている。日本は、本当に災害が多く、全てが全て他人事じゃなくて明日の自分の事なのだと思う。そしてすべての災害は終わることがない。各地で続いている。パンドラの箱に最後まで残っていたものは何かって言う話を事あるごとに思い出すのだけれど、この本を読んだときも終始思い出していた。全ての禍が箱から出た後に、最後に残ったものは希望なのだと思いたい。
2020/05/04
Koji Takahashi
《本は魂を受け取る手段》 仙台の小さな出版社がどの様な想いで本を出版しているか…グッときます。 著者であり出版社「荒蝦夷」代表の土方氏は北海道出身、その縁なのか北海道新聞で記事を読むことがあった、この書籍も記事で知った。 元々日本各地の自然災害に遭われた人達の思いを、丁寧に聞き取り伝えていたところ、著者自身も東日本大震災の被災者となった。被災者となって更に人達の想いが詰まった、魂の様な本を出版したのではないだろうか。 新型コロナウイルスで、思う様に外出もできず、娯楽が再現される中、魂が入った本を読もう!
2020/03/15
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