奥さまは愛国 (河出文庫)
奥さまは愛国 (河出文庫) / 感想・レビュー
rico
いわゆる「愛国活動」の中心にいる女性たちの実相に迫る、ということだが、何だろう?このもどかしさ。登場するのは、こういう活動に参加するのは社会的弱者・・・なんてイメージとはかけ離れた優雅な奥さま然とした女性たち。彼女たちは自らの想いを語る言葉を持ち饒舌なのだが、かみ合わない。交わらない。それぞれ在日・フェミニストである二人の著者は、そのとまどいを鍵とし、自らの生き方を必死で問い直しているようにも見える。私はどうだろう?少なくとも、自分や大切な人達の命を捧げることを要求する国を、愛せるとは思えないのだけど。
2022/09/10
キク
柳広司「象は忘れない」の、福島事故の風評被害で傷ついたシングルマザーがヘイトデモに参加することで癒されるという短編が忘れられず、本書を手に取った。フェミニスト活動家と在日3世という2人の女性著者が、本気で「何故なの?」と、ヘイトデモに参加する幸せそうな主婦達に取材を重ねていく。自分と価値感や主張が異なる人を色眼鏡でなく、文字通り泣きながら理解しようとするが、愛国主婦達は著者達を理解しようとは全然していない。ただ自分達の正しさだけを語る。正しい正しくないの前に、怖い。誰かを罵倒することで成り立つ意見が。
2021/07/22
さな
面白かった。愛国とジェンダーという視点が新しかった。いわゆる「愛国女性」の「愛国」そのものに男尊女卑的な前提があると考えるとすべて説明がつく、というのはなるほどと思った。その処世術は、小池百合子とも通づるな…と。
2020/09/26
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