KADOKAWA Group

Facebook X(旧Twitter) LINE はてブ Instagram Pinterest

笊ノ目万兵衛門外へ: 山田風太郎傑作選 江戸篇 (河出文庫 や 4-13 山田風太郎傑作選 江戸篇)

笊ノ目万兵衛門外へ: 山田風太郎傑作選 江戸篇 (河出文庫 や 4-13 山田風太郎傑作選 江戸篇)

笊ノ目万兵衛門外へ: 山田風太郎傑作選 江戸篇 (河出文庫 や 4-13 山田風太郎傑作選 江戸篇)

作家
山田風太郎
縄田一男
出版社
河出書房新社
発売日
2020-07-04
ISBN
9784309417578
amazonで購入する

笊ノ目万兵衛門外へ: 山田風太郎傑作選 江戸篇 (河出文庫 や 4-13 山田風太郎傑作選 江戸篇) / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

藤月はな(灯れ松明の火)

表紙はホラー的だが、時代物です。忠義を尽くし、それでも人並みの幸せを大切に慈しんでいた万兵衛。しかし、状況は彼の平凡だが稀な幸福を奪い去っていた表題作。責務としては妥当な叱咤は、個人の苦悩や悲しみの面から見ると余りにも冷徹だった。故にあの時、只管、運命に虐げられていく男の信念を支えた最後の一本は遂に折れたのだろう。冒頭の句を一文字だけ変えた句は「何故、俺を人としていさせてくれなんだ」と絞り出すかのようだった。『明知太閤』は歴史IFに見せかけて・・・の緩急が見事。ここでは茶々がファムファタールとなっています

2022/06/26

sin

『笊ノ目~』最愛の者を信念に捧げる男!組織は個人の思いも功績もくそも何も配慮しない。『明智~』並行宇宙…ノン走馬灯。『姫君何処~』隠れキリシタンに三百年の年月の及ぼした信仰の変化を恐るべしとするのか、西暦元年に発する本家本元の信仰の何を以て変節がないと云えるものか…。『南無殺生~』信念を持たない激務の行方に仏壇投げに至る悟り、男はつらいよ。『お江戸英雄~』名を成すも成さぬも世間次第と、云うこと…。何処の短編も壮絶な印象を与える。風太郎恐るべし!

2020/07/15

geshi

山風の醍醐味である壮絶と悲哀が存分に味わえる短編集。表題作は仕事に愚直な男が徐々に身を削られていく様にあえて心情を書かないことの印象。『明智太閤』紙一重で変わる歴史のIFを鮮やかに見せてくれる。『姫君何処におらすか』宣教師と切支丹の話なのに、異様なものに飲み込まれるホラー。『南無殺生三万人』鬼と恐れられる人物にもある変遷に目を向けつつ、やっぱり分かんねぇと突き放すよう。『お江戸英雄坂』英雄にあこがれた男が時代や周囲に翻弄され、後の世から見れば評価も変わってしまう皮肉。

2020/07/30

まこみや

幾分かの史実に基づきながらも、まさに天翔る想像力の翼に乗って語られる伝奇的世界はほとんど“凄み”すら感じさせる。畏るべし異才山田風太郎、惜しむべし奇才山田風太郎。

2020/08/24

タツ フカガワ

もしも本能寺の変の知らせが秀吉より早く毛利方に届いていたらという「明智太閤」。人質をとって立てこもった悪党を斬れば、人質に取られた武士まで醜態だとして斬った盗賊改め方初代長官中山勘解由の斬りまくり人生「南無殺生三万人」。英雄になろうと大志を抱く男が、これぞ英雄になる男と見込んだ二人が相馬大作、鳥居耀蔵だった「お江戸英雄坂」。歴史的事実に奇想・滑稽・皮肉などを絡めた山風先生ならではの短編集、大いに楽しみました。

2020/11/21

感想・レビューをもっと見る