須賀敦子が選んだ日本の名作: 60年代ミラノにて (河出文庫 す 4-13)
須賀敦子が選んだ日本の名作: 60年代ミラノにて (河出文庫 す 4-13) / 感想・レビュー
やいっち
「須賀の編訳・解説で60年代イタリアで刊行の『日本現代文学選』から13篇収録。解説は日本人にも作品への見事な誘いとなっている」とか。我々にとっての現代にも読まれている作家(作品)もあれば、読まれてしかるべき作家(作品)も。感想めいたことは、個々の作品読了の都度 書いてきた(ブログに収めた)。悲しいかな、石川「紫苑物語」は、肌に合わなかった。
2021/07/12
たま
須賀敦子さんが1965年イタリアで(彼女自身が選び訳して)出版した『日本現代文学選』25篇のうち13篇を収める。時代は一葉「十三夜」から庄野潤三「道」に至り、谷崎、川端、三島などだけでなく坪田譲治や深沢七郎(この本を読まなければ私は読む機会がなかったと思う)も含むヴァラエティに富んだ選集。13篇のうち、一葉「十三夜」と林芙美子「下町」が心に沁みたが、三島「志賀寺証人の恋」石川淳「紫苑物語」中島敦「名人伝」の虚構性と構造性(和漢に加え欧米の教養をも踏まえた)がそれとは全く異なる文学の形として印象に残る。
2021/03/23
Kajitt22
さすが須賀敦子さんが選んだ現代日本文学の作品。ほとんどが未読ながらどの作品も素晴らしい。2022年の年初めからじっくりと堪能させていただきました。編者須賀敦子さんの短い解説文も味わい深い。これらの作品を半世紀以上前にイタリア語に翻訳し出版され、イタリアのひとたちに紹介していたとは。90年代須賀さんの一連のエッセイに魅せられた者としては、ここでこの本に出会えるとは嬉しいプレゼントをもらった様な気持ちです。
2022/01/24
ぞしま
本書のよいところは「編者解説」で(当時日本文学不毛の地であるイタリアに)、須賀さんがどのように日本文学を紹介したかが読める点である。太宰のヴィヨンの妻、林芙美子の下町、庄野潤三の道、などリアリズム寄りの作品が好みであった。この日本文学アンソロジーを編んでいた頃の話は須賀さんもいくつか作品に残しており(確かペッピーノの死と前後していたはず)、それも併せて読みたくなった。
2021/08/20
shoko
須賀敦子さんがイタリアの読者のために選んだ日本の名作を、須賀さんの解説つきで読めるアンソロジー。イタリアからの逆輸入。解説が素晴らしく秀逸で、完璧に準備されており、日本の文化的背景が分からないイタリア人を読書に誘っている。日本の古典や文化的背景に明るくない私には、大変ありがたい手引きだった。/『ミラノ 霧の風景』で須賀さんが取り組んでいた本がこれか…と思うとなんだか感動的。しかし、36歳の時に、日本近代文学の大海原から25の作品を選んで、それをイタリア語に訳すって、すごい離れ業に思うんだけど…すごいです…
2021/06/05
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