死にたくなったら電話して (河出文庫)
死にたくなったら電話して (河出文庫) / 感想・レビュー
ざるこ
イケメンだけどぱっとしない浪人生の徳山を初対面から気に入る初美。グイグイ一気に読まされるのは初美の人間性が掴めないから。言葉では愛情のようでも目的は他にあるよう。何かと自信の持てない徳山を持ち上げ優越感に浸らせ、本棚に並ぶ残虐な戦争や拷問の作品を語りながらのセックス。いつの間にか言葉も思考も変わっていく徳山が恐ろしかった。結局、初美に愛情なんてなく破滅に向かう同士が欲しかったんじゃなかろうか。徳山がそう流される人間だと見抜いていたのか。心が弱ってる人が読んだら引きずり込まれるんじゃないかと心配になる作品。
2022/03/04
olive
満ちたりた幸せを願い「理想」を求めるも、「現実」は不安や焦燥、挫折...を抱えつつ悩みながらも折り合いをつけて生活している。でも、どうしても執着するものが捨てきれなかった時に人は救いを求め自分なりの教祖を見つけてしまうのだろうか?初美の語る言葉は、「現実」を生きるために蓋をしたもの。だから初美の言葉が過激なのに頷けるもの。それでも生きていくためには、馬鹿げた生き方しかできぬと思っても明日を信じて前向きに生きようとする。だが、沼にハマってしまったら....破滅へと。共感はできぬが魅せられる作品でした。
2021/12/12
Junichi Yamaguchi
『そこに人間の悪意をすべて陳列したいんです』… いやぁ、引き込まれた。 ただ、共感はしなかった。 文学とは何なのか? 少しだけ考えてみたが、少し頭が痛くなった瞬間に思考を停止してみた。 「面白い」や「楽しい」という言葉は出ないが、読んで良かったと思える自分の感情を不思議に思う。。
2021/10/08
ちっか(*´꒳`*)♪🍎
狂気じみた女性のペースに、すっかりハマっていく男性のお話。どうなってしまうのか、先が気になってたまらず、最後は呆然としました。恐ろしくもあり、ある意味すごい女性でした…。そして男性は可哀想すぎました。
2023/02/14
D
この前に、人間は性善説である、という本を読んでからこれを読んだ。もう何が正解なのかよくわからなくなった。徳山と初美はあそこで出会わなくともどこかで必ず出会っていたと思うし、やはり同じ結末を迎えるんだなと思う。 ルックスだとか年齢だとか、そういった表面的な所をグサグサと刺し、破滅的衝動みたいなものを掘り下げて行ったこのような作品は、後にも先にも中々生まれないんじゃないかなと思う。是非皆さんも読んでほしい。
2021/09/10
感想・レビューをもっと見る