赤い蝋人形 ; 山田風太郎傑作選 推理篇 (河出文庫)
赤い蝋人形 ; 山田風太郎傑作選 推理篇 (河出文庫) / 感想・レビュー
ア・トイロッテ(マリポーサとも言う)(各短編の評価はコメントで)
★★★☆7 山田風太郎のWikipediaによると、医学部出身であり、敗戦前日には異常な精神状態になったという。このことが『わが愛しの妻よ』にも現れており、短編に時々ある医者の描写がよく出来ているのも納得できた。個人的には山田風太郎は最高の変格ミステリを書く作家で、いつも大仰でくどく疲れる文章なのだが、内容も増して濃い。そんな文章の書き方で雰囲気をもっとも異質たらしめたのは『新かぐや姫』だろう。タイトルに入っている『かぐや姫』は結末で暗に意味を示している。これも含めて異質な結末が忘れられない傑作であった。
2023/06/19
HERO-TAKA
先日の読書会でプレゼント交換として用意した作品。米澤穂信の「米澤屋書店」で本著の一作が紹介され興味持って自分も読んでみた。内容は結構暗かったりインモラルだったりするので薦めづらいところもあったけれど表紙も凝ってるし面白い本。こういう風に良い本が人から人に伝わっていくと素敵かも。
2023/12/07
やま
8編の短編集。人の情に対する怖さを感じる内容。昭和20年〜30年代の戦後の空気感を味わいながら楽しむことが出来ました。現在では、聞き慣れない言葉を調べながらだったので読むのに時間がかかりましたが面白かったです。
2022/05/13
コチ吉
山田風太郎も敬遠していた作家で、初読みである。これは傑作。ミステリを数多く読んでいると、それなりに先が読めてしまうものだが、物語の持つ熱量に圧倒されるのだ。全編に漂うむせ返るようなエロスも横溝色とは異なり、かえって現代には新鮮。表題作もいいが、「新かぐや姫」「二人」に惹かれた。
2022/03/25
Inzaghico (Etsuko Oshita)
どの話も人間の業の深さをこれでもかと見せつけられ、哀しいを通り越して背筋が寒くなる。自分もどこかにこのような業を抱えているかと思うと、悲しくなるし、怖くなる。でも、他人だとそこが面白いんだけど。 どの作品も女性がカギ、キモとなる。男性によって運命を狂わされる女性、男性を手玉に取ってその運命を狂わす女性と両方いるが、どの女性の翳の部分も同情するに余りある。どの話も、一度レールを踏み外したら、もう二度とレールに戻れないということを繰り返し違う展開で訴えているのが、なんともはや。
2022/01/20
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