犬の記憶 (河出文庫)
犬の記憶 (河出文庫) / 感想・レビュー
Tenouji
写真は、絵画の写実性を置き換えるものと考えられるが、究極的には、人間の光の記憶を探求する技術なのかも。ノスタルジックな湿っぽい考察のエッセイだが、著者の若い頃の話しも、時代を強く感じさせるもので面白かった。
2022/10/30
十文字
表紙に掲げられた、森山の代表作のひとつ『三沢の犬』のイヌと目があってしまったので手にした一冊。
2023/06/13
ぼっせぃー
「(略)身体はたしかにそこにいて心が身体に寄り添ってこないという頼りない感覚は、それをもふくめて現実だということが分かってはいても、それが日常しばしばあることにかすかな不安がきざしてくる。日常という時間と空間のなかでは、人は馴れきってしまっているために、いわば普通のこととしてそうした感覚を自然に糊塗してしまうのかもしれない。日常から突出した旅の時間と空間は、ときにそうした輪郭を、人々にはっきり現わし見せてくることがある。」 旅を写真に置き換えても成立しそうである。文章は読みづらいが全体的にセンチメンタル。
2022/08/14
Hamanna
読む写真集 森山大道先生の写真と文章が好きなのでたまに見返します
白井天鶴
森山の文章には、彼が撮り続ける写真と同様のパワーと描写と難解さがある。そこに森山の写真家としてのアイデンティティが見えてくる。例え文章であっても、彼が表現しているのはあくまで写真であり、いつだってシャッターを切っているのだ。自分の中で論理的に、あるいは突発的に浮かんだ感情を、今まさに見えている風景に投影して記録する。そのツールが言葉であるか写真であるかの違いしかない。
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