さよならの儀式 (河出文庫 み 33-1)
さよならの儀式 (河出文庫 み 33-1) / 感想・レビュー
ヴェネツィア
宮部みゆき初のSF短編集。8つの作品から成るが、「聖痕」などはSFというよりもオカルトといった内容である。また、他のものも設定こそはSFではあるものの、いずれも作品の本質は別のところにありそうである。解説の大森実などは、興奮気味に先行のSF作品と重ね合わせて語っているが、私は宮部みゆきとSFとの相性は必ずしも良くなかったのではないかと、いささか懐疑的である。例えば巻頭の「母の法律」などは、設定の説明に追われるあまりに小説のスピード感を犠牲にしているばかりか、冗長さをもたらす結果になっていたりするのである。
2024/04/16
射手座の天使あきちゃん
昔、ドはまりした宮部さん ここ数年はご無沙汰でしたが久し振りに手に取ってみたら、まぁ何ともシュールなSF短編集でした。 比較的読み易いのは、「わたしとワタシ」、「海神の裔」、「戦闘員」、「さよならの儀式」、難解なのは、「母の法律」、「星に願いを」、「保安官の明日」、ヤバい感じなのは、「聖痕」 読み終わったら思考回路がサーマルアラート状態でした! <(^_^;
2024/05/12
yoshida
宮部みゆきさんのSF短編集。SFでも描かれるクオリティは高い。人間の持つ様々な感情が質感を持ち描かれる。作中に様々なSF作品へのオマージュがある。最も印象深いのは「母の法律」。虐待された子を引き取るマザー法。虐待の記憶は措置で深層に封じられる。殺人犯である実母。少人数で対話を見る機会を得た子。同じ養父母に引き取られた姉と参加する子。そこに待つ破綻と狂気のカタルシスは息を呑む。少年法で保護された人物を祀り上げる「聖痕」。あまりにグロテスクに人間の内面を抉る「星に願いを」。クオリティ高い充実の作品集。堪能。
2023/08/04
エドワード
子供の頃、テレビと漫画で夢中になったSFの世界。宮部さんが紡ぎ出す科学用語から立ち上るSFの香りに痺れる。なんといってもロボットと宇宙人がSFの王道だ。「愛情や共感は人類の宿痾だ。」人型ロボットに人間が抱く愛情を描く標題作。大森望さんの解説にある、宮部さんが両親に贈ったルンバがヒントというのが感動的だ。防犯カメラに擬態して侵略する宇宙人、隕石=宇宙船で地球へ飛来し人間に寄生する精神生命体、フランケンシュタインのトムは漁村の神様になる。この、怪奇大作戦やウルトラマンの世界へ一気にワープする感覚、満足の一言。
2023/03/14
ピース
SFの短編集。とは言っても蒲生邸事件なんかとはちょっと違ってた。「さよならの儀式」がよかった。ただ結末がハッキリしない話が多かったように思った。
2023/03/08
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