完本 チャンバラ時代劇講座 2 (河出文庫)
完本 チャンバラ時代劇講座 2 (河出文庫) / 感想・レビュー
Mc6ρ助
『悪人を退治するのは正義の主役だけれども、そのヒーローの為に馳せ参じて来る人間はゴマンといる――それが戦後の民主主義でした。戦後の民主主義というのはそういうものだったんだと、私なんかは今でも思っています。(p471)』世の中に頭のよい人はいるんだと素直に感心せざるをえない、個々の文章は追えてもその論旨を理解できない爺さまはただただ口をぽかんとあけるしかない。この豊穣なものを生みだした日本はどこへ行ったのだろう?橋本治さんが見た戦後民主主義はすでに遠い(ほんの40年足らずの前にしか過ぎぬにも関わらず)。
2023/06/16
耳クソ
「“人を裁く正義”なんていうのは二流の正義だ。ホントの正義は人を自由にする」(「あとがき」)という、意味のないキャンセルカルチャーに熱を上げる左翼のバカどもに聞かせてやりたい名文句に、話は尽きるのだが、しかし後半はいつもの橋本治の通りかなりダレており、前巻ほどの衝撃はない(嵐寛寿郎論はやはり衝撃的だが)。ただ、これから世界をもう一度「生きて行く」ために、さしあたりこのことさえ覚えていればいい、すなわち、「笑顔のない正義は嘘だし、正義のない笑顔はいやだ。正義がなければ笑顔は立たない──もうこれだけ」。
2024/10/03
hasegawa noboru
<十年一日の勧善懲悪ーーすべてが”正義は勝って晴れやかに笑う”というパターンで貫かれていた><全盛期の東のチャンバラ映画>を代表する監督の一人<沢島忠の魅力は一言、走ることでした。走る、走る、みんなが走る(6字傍点)>。中村錦之助主演の一心太助は魚河岸を走り回り、錦之助、賀津雄主演の『殿さま弥次喜多』も走り回った。小学生の頃見たそれらの映画のシーンの記憶がかすかに蘇ってうれしかった。後者は<昭和三十六年、イタリアの世界喜劇映画祭で作品賞と監督賞をとった>というのは初耳だった。<悪人を退治するのは正義の主役
2023/02/26
名無し
学生のころ橋本治の評論やエッセイを読みまくっていた。あやうく教祖のひとりに祀り上げてしまうほどに。一時的熱病だったのかいつしかほぼ読まなくなり、十年単位ぶりに読んだであろう、タイトルだけは耳にしていた本書に、内容や文体を懐古してしまったのだった。いまは故人となられたお方である。わたしも若くはなくなった齢である。
2023/09/14
amanon
恐らくビデオソフトも今ほど潤沢でなかったはずの時代に、ごく限られた資料を基にして、ここまで膨大かつ詳細なチャンバラ時代劇論を開陳した。しかも、本人は決してチャンバラ映画ファンではないというから、最早口あんぐり…状態(苦笑)。何せその殆どが見たことはおろか、題名さえ聞いたことのない映画の話が延々と続くのだから、正直退屈に思えた記述もないわけではないが、やはりそこは著者独特の語り口でぐいぐい引き込まれてしまう。個人的にとりわけ印象的…というか、ぶっとんだのは立川文庫の成立秘話。改訂版を望めないのが悲しい。
2024/07/22
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