百合小説コレクション wiz (河出文庫)
百合小説コレクション wiz (河出文庫) / 感想・レビュー
雪紫
「本編だけ」には収まらない、河出文庫の百合への本気を見た。「彼女。」でもそそられた最初の斜線堂さんで心持ってかれたのも束の間、様々な百合が襲いかかる(最後の深緑さんで終わるのがもう・・・)。甘いだけじゃ物足りない。恋の不安は見たいけど、生きづらさや苦悩を重視し過ぎると・・・なひとには(まったくないとは言わないけど)太鼓判。「選挙」「パン」「悪い奴」「魔術師」が好み。読友さんおすすめな「蝶と帝国」早く読んでみたい。と思う1冊。・・・勿論それだけじゃないけどね( ̄ー ̄)ニヤリ。
2023/02/10
がらくたどん
河出が記念刊行している『スピン』という季刊雑誌の最新号で坂崎かおるさんの巻頭短編にとても惹かれたので河出主催の百合文芸小説コンテスト大賞作が読みたくて初めて「百合」を冠した作品集を購入してみた。お目当ての「嘘つき姫」は大戦中の複雑な欧州を舞台に魂の片割れを抱きしめる代わりに生きるため・生かすための嘘を握りしめて生きた二人の少女の人生を描いた圧巻の中篇。他も斜線堂さんの「能天気にラブラブ」すら許されない同性恋愛のスタートラインへの苛立ちを描く「選挙に絶対行きたくない~」はその企みに満ちた展開に拍手⇒
2023/07/14
なっぱaaua
「彼女。」「アステリズムに花束を」とか小説界隈では百合小説アンソロジーが流行ってますね。ラノベでも文芸でもそういう作品が増えてきました。SFマガジン2019年2月号が重版連発したのも記憶に新しい。今回は8編の短編が収録されています。今作もどれも面白いしレベルが高かった。特に「パンと蜜月」「エリアンタス・ロバートソン」「嘘つき姫」「魔術師の恋その他の物語」は好みだった。ファンタジーから日常まで。百合とはいっても表現の仕方がどれも違っていてとても興味深い。
2023/03/08
芳樹
愛情、友情、憎悪その他もろもろ大きな感情をぶつけ合うのが百合であるならば、百合物語の世界はなんと広く自由なのだろう、と思いながら読んでいました。どの作品も素敵なのですが、個人的にはテーマのスケールが大きい、南木義隆氏の『魔術師の恋とその他の物語』がぶっ刺さりました。
2023/02/16
よっち
実力派作家の書き下ろしと百合文芸小説コンテスト発の新鋭が競演する、八編のアンソロジー。斜線堂さんの選挙に絶対行きたくない見解の相違、小野さんの私たちが失った三年間、櫛木さんの夫とその愛人と三人の奇妙な同居生活、宮木さんの教師とパートナーの別離と女子高生、アサウラさんの彼氏ができた友達を拉致する話、坂崎さんの嘘つき姫とみんなの嘘、南木さんのとある魔術師の恋の物語、深緑さんの恋人を助けないと崩壊する世界と運命。思っていたよりもカオスな関係が描かれていて、作品によっては好みが分かれそうですが興味深く読めました。
2023/03/16
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