海の仙人・雉始雊 (河出文庫)
海の仙人・雉始雊 (河出文庫) / 感想・レビュー
路地
話の筋だけを追うと救いのない物語だけど、なぜか悲壮感を感じないのは登場する2人の女性の強さによるものか。それとも、繊細ながらもどこか飄然としている主人公の佇まいからくるのか。良いことも悪いことも受け入れることが人生であることを諭すような神の言動も軽いのになぜか心に沁みる。
2023/04/27
サンタマリア
『海の仙人』は再読。やっぱりいいね。ファンタジーって、薄暗い部屋で自分と向き合った時に生まれるんかな?『お前さんが過去にしか生きていないと言うのなら、それは未来に対する冒瀆というものだ』という一文を心に引っ掛けながら読んだ。なんだったらまだ引っ掛かってる。オオヤドカリの白い貝殻や黒真珠のネックレスといった小道具の使い方上手いなぁとも思いつつ、新たな発見を楽しんだ読書でもあった。ただ、どうしても僕はこの小説を不穏だと感じてしまう。『雉始なく』も不穏な結びだし無力感さえ覚えた。
2023/02/12
おっしー
長編「海の仙人」と短編「雉始鳴」の2編。「海の仙人」は不思議なストーリーではあるが、スルスルと話が頭に入ってきて、何とも読み心地が良い。神様か何だかファンタジーが登場するけど、それもごく自然体で抵抗が一切ないまま読み進めることができた。話としては孤独を生きた河野という男の一生を描いた物語だったような気もするし、男女の関係や少しの旅を写した物語だったような気もする。地方で漫然と暮らす生活、羨ましくてしょうがない。自然の情景描写が美しすぎてそれだけで読んで良かったなと思う。心が浄化されたような気がする。
2024/09/04
ぜんこう
「海の仙人」は新潮文庫で既読だったんですが「神と黒蟹県」で半知半能の神が出てきたら「海の仙人」の役立たずの神ファンタジーを思い出して、新しく河出文庫から出た文庫で再読。 初読の時もそうでしたが、途中で涙&鼻水&ショックでしばし読めなくなったけど、再読して良かった。短いけど僕にとってベストいくつか(←ええ加減)に入る小説です。表題ともう一作の「雉始雊」(きじはじめてなく)は最後「え、え、え???」という感じ。どっちの話も最後はすっきりは終わらない・・・けどこういうのもいいか。
2024/04/26
いっちゃん
小池アミイゴさんが描かれた表紙の絵がほしい。インスタ追いかけてみたら、描いた時の詳細がありました。ますますほしい。仙人てファンタジーを指すのかと思っていたら、主人公の河野のことでした。覇気のない男で、女に甘えてばかりで河野好きじゃないなと思ってたけど、想像より重い秘密を抱えていて、不憫でした。河野のあだなの由来のとこで笑わない人いる?かりんは健気過ぎな。片桐も。女子たち河野に対して健気過ぎ。たいした男じゃないのに。でも多分、恋ってそういうもんなんだよね。お手紙形式の雉始なくは、終わりにぐるんとなるお話。
2023/04/11
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