交渉人・遠野麻衣子 (河出文庫)
交渉人・遠野麻衣子 (河出文庫) / 感想・レビュー
海猫
三人組強盗が病院に押し入り患者らを人質に立て籠もる。交渉のプロと犯人たちとの駆け引きを描く長編。著者が自作「交渉人」を大幅改稿し、舞台を現代に仕立て直したものが本書「交渉人・遠野麻衣子」である。私は旧版を幻冬舎文庫で読んでいるけど細部は忘れているので新鮮に読めた。軽く読み比べをすると新版はスマホが出てくるのが特に印象が強く、文章も細かく手が入って引き締まった感じがする。全編張り詰めたサスペンスがあり、引き込まれた。終盤はさらにブーストが掛かり、思い切った仕掛けが抜群に効いて納得の仕上がり。一気読みの一冊。
2023/06/16
坂城 弥生
閑職に回されても腐らずにやっていた麻衣子が強い女性だなぁと思った。
2023/06/27
Y.yamabuki
初読みの作家さん。以前出版の作品を、時代に合わせ筆を入れた新装版とのこと。 事件は病院立て籠り。元上司の石田が交渉を担当するが、事件の解決は麻衣子に委ねられることになる。後半の展開、明かされる真実には驚くばかりだが、ただ読了して、有りがちなストーリーだとも感じた。過去に何度かTVドラマ化されているからだろうか。今作では、麻衣子の活躍が少な目だったが、次作ではじっくり交渉する姿を見てみたい。
2023/09/22
にゃむこ@読メ13年生
初出発売当時(2002年)からは通信手段が固定電話とガラケー主流からスマホメインに変わったのをはじめ、社会情勢も諸々変化したのに伴い、著者による全面改訂の第二次文庫版。第一次文庫版(『交渉人』)は未読だが、今作は「いまの時代」の話としてアップデートされていて20年前の作品らしさは感じられない。交渉人と犯人との緊迫したやりとりが後半まで続くが、解決したかに見えた事件の真相は思いもよらぬ展開を見せる。プロローグに配された伏線が、結末できっちり回収されるあたり、さすが。
2024/02/20
NAOAMI
コンビニ強盗転じて医師・看護士・患者を人質に病院立て籠り。警視庁の石田交渉人の現着まで過去彼に師事していた麻衣子が穴埋めに指名。二人の過去は「未遂」を不倫中と噂されての麻衣子だけ左遷。籠城事件の顛末は終始石田ペースだが麻衣子同様、教科書通り過ぎる不自然さが漂う。犯人逃走、あからさまな入れ替わり?トンネル内の人質殺害、消えた犯人。明解な大失態に隠された真実とトリックご一気に麻衣子から語られ、その背景も露に。やるせなさ充満の終幕に麻衣子の理想論は感情抑制には力不足か。事件並走ノンストップは読んでて楽しかった。
2023/10/04
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