閨房哲学 (河出文庫 サ 1-7 マルキ・ド・サド選集)
閨房哲学 (河出文庫 サ 1-7 マルキ・ド・サド選集) / 感想・レビュー
記憶喪失した男
サドの遺作。放蕩と殺人を肯定する主張を会話劇で描く。短いので良いかな。
2022/12/18
marmelo
弱者の宗教として基督教的倫理を蔑み、自らの欲こそが自然と一致して正当なものとする、徹底して利己的な快楽・差別主義思想。もしも一個の人間が「克己主義と哲学と勇気とによって精神を形成(P250)」し、他に依存せずに自己完結でき、そして社会がそうした個人からなる共同体となれば、人間の美徳と信じられている良心などというものは確かに弱者がかざす詭弁にすぎず、そんなものは世に不要と思わせる、悪徳に満ちたドルマンセの哲学講義。予期した以上に考えさせられた一冊。澁澤龍彦の素晴らしい名訳。
2017/12/02
大ふへん者
個人的に大好きな「BLACK LAGOON」に登場する、ロアナプラの猛者達を想起させるような思想だ。単純な無神論ではく筋は通っている。神=人間理性の超越者=盲目になった理性を助けるために捏造された幻影。善悪を犯そうがそんなことはどうでもよい、大切なのは気質や趣味である。全ては習慣と土地の気候次第で変わる。これは夕闇ロックの弁証法であって、バラライカ=張ならば「犬にでも食わせろ」と言うだろう。お楽しみをしながら背徳の技法が語られる様は、さながらシュールレアリズム。
2014/02/06
tottoro
『マゾッホとサド』と併読。 確かに、マゾヒスムにおける否定性を現しているだろうと。 悪は存在しないという思想が中途で語られる。これは、悪(と思われるもの)を以ってしてもそうしても本義的自然を否定させることが出来ないという、サディスムの嘆きであろう。
2011/10/03
Bartleby
ドンマルセが語って、ウージェニーが「すばらしいわ!」みたいに合いの手を入れるような形は途中飽きてきたけど、その分わかりやすい形でサドの思想のエッセンスが説明されている。神・道徳・結婚など自分の快楽を求める自由を制限するものすべて否定するサドの思想は徹底的な個人主義なのかなと思った。誰でも多かれ少なかれ快楽の追求や残虐さへの願望はあるように思える。でもここまで極端にその願望を正当化するような思想はなかなかないわけで、その意味ではたまにはこういう思想を覗いてみるのも面白いと思った。
2011/07/14
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