イーディスの日記 下 (河出文庫 ハ 2-6)
イーディスの日記 下 (河出文庫 ハ 2-6) / 感想・レビュー
GaGa
映画の原作者としては、よく知ってはいるが、案外読んだことのないP・ハイスミス。これは、新居に越してきた主人公の女性が、現実の中で苦しみ、日記の世界に救いを求めるというサスペンス。割とイライラします(笑)特に働かない(働こうとしない)一人息子が。しかし、訳者あとがきでは、他の作品はもっとサディスティックとのこと。そうなのか!?
2011/11/16
シェル
真綿で首を絞められるように悪くなっていくイーディスの人生。生きる意味を見出せず、日記に執着していく様は他人事とは思えなかった。どんな人間も現実から逃げ出すことはあるだろう。その対象は趣味だったり読書だったり。時代的な背景があるんだろうけど、イーディスがジョージの面倒を見続ける意味がわからない。ブレッドの親戚なんだから引き取れよと思ってしまった。
2018/11/25
h
「実生活でのイーディスは不幸だった。彼女が殊更それを強く感じるのは、例えば一月の終わりに、凍った土を押しあげる黄水仙を見た時だった。いったい何のためにそんな努力をするのだろう?また次の春がやってくるのだと彼女は思った。だが、いったい何のために?(中略)自然には独自の周期があり、彼女はそれに取り残されたような気がした。理性的に考えている時は、こんなことを考えているから余計気が滅入って不幸になるのだとわかるのだが、その考え自体には確かに真実が含まれているのだから、彼女がそのように思ってなんの不思議があろう?」
2015/08/19
感想・レビューをもっと見る