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百頭女 (河出文庫 エ 1-1)

百頭女 (河出文庫 エ 1-1)

百頭女 (河出文庫 エ 1-1)

作家
マックス・エルンスト
MaxErnst
巌谷国士
出版社
河出書房新社
発売日
1996-03-04
ISBN
9784309461472
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百頭女 (河出文庫 エ 1-1) / 感想・レビュー

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夜間飛行

気球と共に舞い上がる裸の男は、人々が気球を下に引くのとは逆に、空に向かってぶら下がっている。くり返される「無原罪の宿り」と空へ落下する男の画から、キリスト教のフィルタを通してではあるが、巨大な母に向けてむき出しにされた幼児の眼の痛みを思った。解説でロプロプを作者の分身(とエルンスト自身いっているそうだ)と決めつけ、男性主人公としているのはいただけない。パリの街灯に餌を運ぶ怪鳥ロプロプは、むき出しの眼に涙をもたらす福音…母からの使いではないか。そして百頭女は、人間の目を闇に閉ざすことで光に開く存在だと思う。

2016/08/28

yamaneko*

コットンさんのおすすめ本。ページをめくるたびに、精密かつ難解な絵と文に翻弄されます。シュールでちょっぴり風刺が効いた作風は、たやすい解釈をゆるさない。思考停止させてくれる本として、別の楽しみ方ができそう。私が読んだのは文庫本だけど、大型本で見たら強烈な印象が残りそうです。

2015/01/08

えか

シュールレアリズムが難しいのは、此方が理解しようと身構えてしまうと彼方がするりと逃げていく事にある。何やら不確定性原理のようだが、困った事には違いない。 なので一番良いのは本とは対峙せずあらぬ方を向いて「君には関心無いよ」とする事である。出来れば目も口元も脱力させてよだれを垂らすのもいい。所謂「痴呆状態」というやつである。もっと砕けて「うすらばか」といっても良い。こうして始めてシュールの世界に入る事ができる。もちろんその際、此方の世界とは関係を断つ事にはなるが仕方ない。その場合正しいのは彼方だからである。

2022/09/03

sin

先ずは緒言=まるでお経のようにありがたいが理解しがたい。主体となる挿絵の数々=何かの物語の挿絵に闖入したイメージは当時の社会と神学の融合か?あるいは新しい人間社会における神の立ち位置を示すもの?はたまた神の登場を必要としない人間が主役の新たなる世界の創造ととるか?若しくは只の思い付き退屈した知識人の戯れ

2015/01/29

とびほびこび

ちら、とみかけた時から装丁とタイトルが気にはなっていたが、手に取ってみて「なんだ、これは?」というある意味驚愕の一冊。帯に書かれている通り、惑わされ乱される。神々しさと低俗が時に同居し、コラージュという表現がもたらす奇妙さ。絵画に対する造詣はあまり持ち合わせていないが不思議と後に残る。寄稿を探るもうまくまとまらず意図を探ろうとすると余計に混乱する。印象深いのはロプロプが、街燈たちに夜の食事を運んでくるという絵と百頭女とは無頭女という洒落が利いているとの窪田氏の言。まったく恐ろしい本に出会ったもんだ。

2014/12/29

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