詩人と女たち (河出文庫 フ 3-1)
詩人と女たち (河出文庫 フ 3-1) / 感想・レビュー
やいっち
やんちゃで正直で優しい小父さんブコウスキーと目される人物の語り。あくまで虚構だが、事実の話なんだと思ってしまう。主人公である詩人は中年をも過ぎた、何も知らない人が見たらうらぶれたおっさん。が、知る人は知っている詩人。呼ばれて誌の朗読をやってカネをもらったりする。小説も書く。男性のファンもいるのだろうが、女性のファンが多い。彼なら自分を相手にする、自分を得心させてくれると思う若い女性が引きも切らずやってくる。
2021/01/18
こばまり
初読の時はおぞましく感じたチナスキーの所業も、読み返してみたらなんだか可愛く思えて驚いた。時々落ち込むところなど特に。私もこなれてきたと申せましょう。どうでもいいようなことが延々と繰り返されているのに惹きつけて離さない。
2022/11/08
団塊シニア
50代太って醜いアルコール依存の男に次から次へと魅力的な若い女性が訪れる、筆者の自伝的小説だから面白い、物語の展開が早いので長編ながら読み手を退屈させない、人間や人混みが嫌いだという主人公、殴り書きのような荒っぽさのなかに切なさを感じる読み応えのある作品です。
2013/10/18
たまきら
ただただ受け止めてほしいエゴイスト。でも、こういう男は女にとってはある意味おもちゃな気がする。遺伝子の交換のために性というアイデアが選択され、女性は優位な男性を選択するという基本があるかもしれないけれど、こういう身勝手で定義に当てはまることを嫌う男って、たまらない。…そんな風に感じてしまう自分も怖いけれど、実生活でこの作家とあったら頭突きしておしまいだった気もする。
2019/10/26
こうすけ
仕事で切羽詰まったり落ち込んだりした時、ブコウスキーを読むのは良い。もう女好きとかプレイボーイとかそういう次元ではない作家が、詩の朗読会に呼ばれて旅をしては現地で女遊びをし、ファンレターに返信しては女性を連れ込む。そしてたまに、ちょっと落ち込んだりしている。この分量をこれだけ楽しくサクサク読めるのはやはり凄い。ブコウスキーは、読者に「自分にも書けるかも」という気持ちにさせるからこれだけ根強い人気があるのだろう。それにしても、昔はこんな簡単に作家本人に電話をかけたり家を訪ねたりできていたのか。
2020/12/13
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