差異と反復 下 (河出文庫 ト 6-8)
差異と反復 下 (河出文庫 ト 6-8) / 感想・レビュー
koke
再読。同一性を見せかけられたもの(効果)と捉えるところが面白い。たとえば自我の下には微小自我がひしめいているし、生物種は進化して枝分かれし続けるし、硬い台地も時間のスケールを変えれば雨に削られて流体のように姿を変える。結局のところ様々なカテゴリーは表象の世界のものにすぎない。表象の下の実在は表象とは似ても似つかない。それを想像することは難しいが解放感を味わえる。では実際に人々を解放するにはどうするか、という問題意識から『アンチ・オイディプス』や『千のプラトー』は書かれたのだろう。
2023/03/10
koke
固定的な輪郭を持たずに変化し続けるカオス、それが一義的な存在である。逆に言えばこのカオスは、そこからあらゆる個体が生まれてくる母胎でもある。したがって、コギトや統覚といった束の間のものを自明の前提にしてきた古い哲学は批判されなければならない。…それは分かるが、カオスから個体が発生するメカニズムがよく分からない。つまり縮約、観想、思考などと呼ばれている出来事が。暗き先触れ…?
2023/02/19
wadaya
我々が通常「差異」という場合、表象=再現前化された同一性=錯覚としての差異である。差異とは何か考える前に「反復」について考える。ドゥルーズによれば反復は三度折り畳まれる。一度目はその瞬間に、二度目は過去の物として、三度目は未来への永遠回帰として。そして三度目の反復と初めの二つとの間に境界線があり、それが差異だと言っている。つまり差異は反復と共にしか存在しない。では最初に反復されるものは何か?それは恐らく(理念=イデア)のことを指している。しかしこの場合のイデアとは形而上学的なものを指していない。(続く)
2018/01/06
記憶喪失した男
イデアの内部に差異があるとしている。そこまでイデア論なのか。ディオニソスや永劫回帰がニーチェの哲学で重要だとは思わない。
2017/10/05
ひつじ
細部を読み込めば、そりゃ大変だろうが、ドゥルーズが語りたいメインテーマは非常に分かりやすかったと思うけどなぁ。ドゥルーズ自身以前の哲学者を引用して、ドゥルーズの考えとどこが違うのかを詰め、そして「差異」と「反復」がドゥルーズにとってどのような定義なのかさえ大体把握すれば、最後の結論がドラマティックに展開されていくのも流れとしては余裕で読めると思う。ま、ただの哲学の文章読むときのコツでしかないか。細部に囚われない読み方苦手な人は読みにくいかもねぇ……
2021/05/03
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