カリブ諸島の手がかり (河出文庫 ス 3-1)
カリブ諸島の手がかり (河出文庫 ス 3-1) / 感想・レビュー
有理数
心理学者ポジオリ教授を探偵役に据えた短編集。ポジオリ教授はかなり人間くさく、極めて冷静で理知的ですが、怒ったりもするし、目立ちたくないとは思いつつも虚栄心もあって、巻き込まれては事件解決へ向かう魅力的な探偵です。伏線の利いた堅実なミステリもありますが、やはり目につくのは民族的で哲学的な土台。最終話「ベナレスへの道」は「探偵小説の底が抜ける」とまで評されたあまりに衝撃的な結末。ウワアーッやばすぎる。結末も含め、ホワイも推理もそんな次元まで行ってしまうのか。見事すぎる傑作。
2014/09/29
三柴ゆよし
カリブ諸島を舞台に、アメリカの心理学者ポジオリ教授が難事件を颯爽と解決!というように上手くいかないのがこの作品集のおもしろさ。名探偵が論理を捨てて勘に走る、警察や犯人に普通に出しぬかれる、しかもこの人、中途半端に短気で臆病、やたらと人間臭くて、挙句の果てに自分が検挙される。なるほどチェスタトン風の反ミステリなのか、と思って読んでいたら、最終話「ベナレスへの道」でぶッ飛んだ。まさしく「最後の最後で推理小説の底が抜ける」。ミステリというより、これはもう最上級の幻想小説といって差し支えない。傑作。
2011/07/05
タッキー
先日読んだ本格ミステリーを紹介する『本格力』で推薦されていて、面白そうだったので購入。ちなみに、そこで紹介されていた本は残念ながら、面白そうでも絶版ものが多いのです。さてこの本の実力は?と期待大!舞台はカリブ海の西インド諸島。ここを舞台にした小説はおそらく初読み。雰囲気が違います。文化や地域の特性がすごく出ていて、これを感じるだけでも読む価値あり。短編集ですが、どれも最後の展開で良くも悪くも、置いてけぼりを喰らうような意外なストーリーが多い気がしました。特に最終話。紹介通りの予想外の結末。これには脱帽!
2021/01/17
syaori
アメリカ人の心理学者ポジオリ教授は休暇で西インド諸島を巡っています。そこで様々な事件に巻き込まれ、素人探偵として腕をふるっていくというお話です。一話ごとに舞台が変わり独立して読めますが、教授がだんだん探偵として自信をつけていくこともあり、連作として読んでいくのがベストです、絶対に! ミステリーはあまり読まないのでミステリーとしての評価はできませんが、カリブの島々で起こる事件は、宗主国との軋轢があったり、白人とクレオール、または黒人の対立があったりと独特で楽しめました。最後の「ベナレスへの道」は必読ですよ!
2016/01/22
ホームズ
おだてられて調子に乗って推理するポジオリ教授(笑)一応真相は解明されますが(笑)最後の『ベナレスへの道』が『クイーンの定員』の中に収録されいたのでなんとなく普通の推理小説ではないと思っていましたが、予想以上でしたね(笑)こう言うタイプの推理小説は好き嫌いが出るでしょうね。
2009/03/04
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