ランボー全詩集 (河出文庫 ラ 3-1)
ランボー全詩集 (河出文庫 ラ 3-1) / 感想・レビュー
優希
「早熟の天才」と言われるだけあり、その紡ぐ作品が恐ろしさを見せつけられます。散文のような詩の数々から感じるのはまさに魂の叫びと言ってもいいでしょう。不吉な輝きを放つ言葉の数々に荒削りな魅力を覚えずには入られません。20歳で詩歌を捨て、文学の世界から去ったランボー。天才が故に生涯を文学に懸けることができなかったのでしょうか。何とも言えない衝動に溺れるような感覚に陥ります。
2016/10/29
里愛乍
最近になってようやく自分なりに〝詩〟の読み方というか、触れ方が分かってきたような気がする。自分の足りない頭で書いてある言葉としての〝詩〟の中身を意味を知ろうとすることが間違っていた。詩人は言葉を表現しようとしているのではなくて、彼らの視えている感じている、言葉として存在していないものをどうにか存在する言葉を使って表現しようとしている。解読等、寧ろ他の言葉を使って表現することは非常に難しいのではなかろうか。ましてや翻訳など。逆に云えば、彼らと同じ感性があればその言葉を通して同じものが視えるのかもしれない。
2018/04/27
ロビン
「見者であらねば、見者にならねばならない」ー15歳で詩作を始め、20歳でそれを放棄してアフリカで商人となるも、病を得て37歳で死んだ流星のような天才詩人アルチュール・ランボーの全詩集。田舎からの出奔やヴェルレーヌとの深い関係とその決裂など、その生き様を含めとにかく反逆的な激しい印象の人である。ロマン派、象徴主義、シュールレアリスムの要素を全て持っている詩群と感じるが、絵画でいえばピカソの「泣く女」がイメージされた。ボードレールからの影響とギンズバーグへの影響ははっきり感じる。対訳版にも挑戦しようと思う。
2020/12/18
ノブヲ
太陽のような無邪気さがこの若き天才詩人の半分を照らし、闇に沈んだもう半分には臆病さが苦悩と共に潜んでいる。彼はときに賤民となり聖地巡礼の旅に出る。いや嘘だ。真実はキャラバンを組んで水のない砂漠を渡る地獄巡りだ。太陽が彼の周囲をグルグルと廻り、たえず光と影の位置が入れ替わる。それはまるでサーカスで綱渡り師の曲芸を仰ぎ見ているような気分だ。その危うさに不安ばかりがかきたてられる。だがすべては幻。そろそろ夜も明ける。「目を覚ませ、もう真昼だ」
2023/10/31
OZAC
以前からずっと読みたかったランボーの「ある地獄の季節」だが、期待以上の素晴らしさだった。 “俺は何日ものあいだ眠りこけていたが、起きると、一番悲しい夢を見続けるのだった。” (本文より抜粋)
2017/10/08
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