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チリの地震---クライスト短篇集 (KAWADEルネサンス/河出文庫)

チリの地震---クライスト短篇集 (KAWADEルネサンス/河出文庫)

チリの地震---クライスト短篇集 (KAWADEルネサンス/河出文庫)

作家
H・V・クライスト
種村季弘
出版社
河出書房新社
発売日
2011-08-05
ISBN
9784309463582
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チリの地震---クライスト短篇集 (KAWADEルネサンス/河出文庫) / 感想・レビュー

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中玉ケビン砂糖

本を読まない人なんてまずクライストなんて知らないし、文学好きだとしても代表作を挙げさせれば『こわれがめ』と馬鹿の一つ覚えのようにしか言えないと思ったので、偶然図書館で出会ったのは僥倖だと思う、ところで話は変わるがイーライ・ロス監督の『アフターショック』は、同じチリ(現代だが)を舞台としたディザスター・ムービーである。これは、実際におきる天変地異などよりも、極限状態下におかれた人間の本性がいかに醜いかを全面に押し出している作品だ

2015/04/25

nobi

「チリの地震」という災厄の光景に慄いていると、人々が齎す地震を超える災禍に吃驚。そんな人々の、その有り様を描く著者の、彼らのパワーには到底敵わない、と思わせられる。「聖ドミンゴ島…」「決闘」にも極刑が現れ、拳銃で心中したというクライストの最期と重なる。そのベクトルが向きをたがえると「聖ツェツィーリエ…」の気が触れたような改心劇に。感情の激しさは行動の激しさに比例する。最後の2編は理数系志向。「マリオネット芝居…」の物理的解明とマリオネットの人間よりうわての「沈着、軽やかさ、優美」といった詩的哲学が魅力的。

2022/09/10

Gotoran

エンデ繋がりで、本書収録の「マリオネット芝居について」を読んでみたく。18~19世紀、独の劇作家、H.V.クライスト、不遇かつ激動の生涯の果てに、直情奔放で極端な性格、当時の社会に馴染めず、34歳で人妻と共に拳銃自殺をしたと云う。直接的で冷淡な文体は独語散文の最高峰として、後のT.マン、F.カフカ等に影響を及ぼしたと云う。地震という天災の中での正気と狂気、圧倒的なカタストロフィーを描いた小説「チリの地震」。マリオネット芝居について、ある舞踏家と交わした会話の中に幻覚的形而上学的意味合いを感じさせてくれ↓

2014/08/31

傘緑

「祭具室のなかと着衣式では人がちがう一人の尼僧の屍体のように!」なんて素敵に意味の分からない比喩表現なんだろうww閑話休題、訳者の種村季弘は完璧と言っていますが、兀とした文体と構成だと思う。どこか「書きながらだんだん話を仕上げている」感が…舞台設定とともにの二重の破局は決まっているが、それがどのようなものになるかは、クライスト本人も実際に書上げないことには、分かってないような気がする。それに引きずられる形で読者は、いつどのように悲劇が訪れるか!?そんな吊り橋に揺られるようなダイナミックな読書体験を味わう

2016/09/24

波璃子

静かな文章から凄まじいまでの激情を感じて恐怖さえ覚えた。変に緊張してしまって心臓がバクバク鳴っている。「何をやってもものにならなかった」という作者の不遇な一生を思うと、平穏な人生と引き換えにこの作品を手に入れたのではないかとさえ感じられた。

2019/01/15

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