最後のウィネベーゴ (河出文庫)
最後のウィネベーゴ (河出文庫) / 感想・レビュー
亮人
お馴染みの「話を聞かない子供や男や女」がゴチャゴチャと喧しく話を掻き回すストーリイなんだけど、長々と会話されても飽きの来ないストーリイテリングはさすがの一言!このドタバタ会話文と、あとに残らないSF要素は、もはやアメリカのライトノベルか?どの作品も佳作ぞろいだが、オマケ掌篇である「からさわぎ」が短いにもかかわらず、考えさせられた。シェイクスピアとは一見日本で馴染みのない話題と見せかけて、なんでも「不謹慎」と規制する日本にも通じる話。スペースコロニー《ソニー》とか、意外に日本に造詣の深い作者も興味深かった。
2013/12/05
ちゅんさん
はじめてのコニー・ウィリス。読みづらくて話の筋を追うのに精一杯でしたがこの作家の凄さと言うか力量の高さなどを感じることは出来た、はず。なんだかとてもドタバタしててSFと言うよりはラブコメのような感じ、かと思いきやの表題作は驚いた。多分この短編集おそろしく面白くて技術的にも高いと思います。ただ今の私には少し難しかった。次は長編をゆっくり楽しみたいです。
2019/01/14
くさてる
すこしずつ読み進めているコニー・ウィリス。よろめきドラマとSFアイデアが楽しい「タイムアウト」まさに女性問題を取り扱った「女王様でも」ドタバタとハーレクインぽい恋愛ドラマが絡み合った「スパイス・ポログラム」と楽しいものが多かったけれど、やはりシリアス系「最後のウィネベーゴ」が素晴らしかった。泣いた。失われたものへのどうしようもない思い、諦観の苦しみを書かせるとウィリスはわたしの涙腺を刺激してやまない。
2017/09/21
かえるくん
うまい!うますぎる!超一流の小説巧者の技量を堪能できる一冊でございます。ささやかなSF的ガジェットを駆使してここまでおもしろいお話を書けるなんて本当にすごい。さまざまな思惑を持つ人物(+エイリアン)を巧みに描き分け、そのあいだに生まれるズレで読者の興味をくすぐり、ずいずいとページをめくらせてくれます。SF好きだけでなく、海外の主流文学が好きな人にぜひ読んでほしい。お気に入りは「女王様でも」。主人公の親族とフェミニストのあいだで展開される、女性特有のある事象についての徹底して噛み合わないやりとりがおかしい。
2013/03/24
もち
「なんにだって道はあるわよ。午前三時半だもの」◆「現在子」による時間転移研究に参加した心理学者。補助者として雇われた主婦に、不可思議な親しみを覚える。暗く、狭い部屋で、距離を詰める二人。彼女が彼に掛けた言葉と、取った行動は――(『タイムアウト』)■SFの女王による傑作短編をセレクト。女性特有の問題をテーマにしたもの、何故か結婚させたがる異星人をめぐるコメディ、一見繋がらない動物と終末が巧みに重なる近未来SFなど、粒揃いの逸品が揃う。
2019/09/08
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