猫のパジャマ (河出文庫)
猫のパジャマ (河出文庫) / 感想・レビュー
ヴェネツィア
タイトルの『猫のパジャマ』は、スラングで(アメリカ起源という人とイギリスという人とあり)「素晴らしい人やモノ」とのこと。本書は83歳のレイ・ブラッドベリ自選のショート・ストーリーズ。1946年~2004年に書かれた21の作品群である。いずれも短いだけに、深い味わいの読後感とはいかないが、それなりに軽妙なブラッドベリを味わえる。もともと彼の作家としての出発点は、こうしたところにあったのではないかと思わせる。好みによるが、私は篇中では巻頭の「さなぎ」と表題作を採る。
2020/12/02
tototousenn@超多忙につき、読書冬眠中。
☆5.0 拾った子猫の所有権をめぐって争う事となった男女の出会いを描いたラブストーリー『猫のパジャマ』 をはじめ、SFや奇譚などブラッドベリのすべてが詰まった極上の短篇集。
2021/02/21
MICK KICHI
短編集。さなぎ◎ まさしく、オロスコ! シケイロス、然り!◎ 屋敷◎ 猫のパジャマ◎ マフィオーソ・セメント・ミキサー◎ 趣味の問題◎ ショートショートのようなワンアイデアに、ブラッドベリの奇妙さ、ノスタルジーをまぶした作品群。猫のパジャマは珠玉。シチュエーションの鮮やかさが映像を観ているよう…。あり得ないけど、人生の不思議さに打たれる。本の冒頭、猫のパジャマの言葉の意味が紹介されます。
2019/05/17
chantal(シャンタール)
【第167回海外作品読書会】こんな可愛い題名、可愛い表紙に騙されてはいけない!思わず背中がゾクゾクっとするお話がこれでもかと詰め込まれている。アメリカの文化や歴史に詳しくない私にはよく理解出来ない話もあるのだが、怖さだけは十分伝わってくる。この短編集は、作者御年83歳の時の作品。でもずっと若い頃に書いてお蔵入りしていた作品と半々の割合。でも、その区別がつかないくらい、50年の隔たりも感じずどのお話も完成度が高い。そんなにSFが好きなわけではない私でも、ブラッドベリはまた読みたいと思ってしまう作家である。
2020/10/25
(C17H26O4)
表題作。いい話だ。飼い猫を喪ったばかりの男と女が同時に1匹の捨てられた仔猫に出会い、同時に手をのばす。「あたしは猫好きなの」「ぼくだってそうさ」あたしの猫よ。ぼくの猫だ。互いに自分が飼い主になるのだと主張して譲らない。どれだけ自分が猫好きなのか、2人が言い合っているのを読んでいるだけでなんだかにこにこしてしまう。2人の名前にもにんまり。そして猫のパジャマ!これにはとっても和む。月が天井へ降りて、陽が昇って。そして決着。心が平和になる。ほんといい話なのだ。
2022/02/22
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