新生 (河出文庫)
新生 (河出文庫) / 感想・レビュー
優希
ベアトリーチェへの想いが美しい詩で紡がれていました。最愛の女性であるからこそ、その出会いから死による別れまでの心の軌跡を書き留めておきたかったのでしょう。ダンテにとってベアトリーチェは永遠だったのですね。
2017/12/16
優希
再読です。ベアトリーチェへの想いが美しい言葉で紡がれていました。ダンテを天国へと導いた女性。出会いから死までをみずみずしく描いた魂の自伝と言っても良いかもしれません。ダンテにとってベアトリーチェへの想いを残しておくことは、ベアトリーチェが永遠であるからかもしれません。
2024/04/09
しんすけ
十代のころ読むのを途中で断念した書。 『神曲』のように昇華されないダンテの語りがあまりにも悲痛だったから。十代にとって哀しい恋なんて不要なものだったのだ。 実際はダンテの理屈ぽい詩論に辟易していたのだが、今ではそれがダンテ片恋の気恥ずかしさの隠蓑に観える。 ダンテ・アリギエーリは夭折した人を魂の限りを尽くし詠う。 恋する人ベアトリーチェは、ダンテの気持も知らずに死んでしまった。 ダンテは九歳のとき、同じ九歳のベアトリーチェに出会った。ダンテはベアトリーチェに恋してしまった。 なんと幼い片思いか。
2022/05/31
SIGERU
「ベアトリーチェ、あるいは、私はいかにして詩人となったか」。そんな副題を附したい誘惑に駆られた。これは、ダンテのArs Poetica。ダンテ自身による詩学書だ。ベアトリーチェに寄せた詩を自ら俎上に載せての、緻密をきわめた自己解析は、抒情よりむしろ幾何学精神に富んでいる。『神曲 天国篇』のベアトリーチェが謹厳なため、潤いを求めて本書を読んだ。彼女の天上的な美は、観念としては伝わってきた。しかし、具象としての彼女は、やはり薄紗の蔭に匿れていた。女性崇拝が昂じると、実像は抽象思惟の彼岸に飛び去ってしまうのか。
2022/03/05
Francis
「神曲」のダンテ大先生が永遠の恋人ベアトリーチェへの恋をつづったソネットと、ところどころ理屈っぽくもなるソネットへの詞書の対比が面白かった。しかしダンテ大先生、いくらベアトリーチェがすでに故人だからと言って、妻もいる身でありながら人妻への恋愛感情を赤裸々にあらわして大丈夫だったのかなあ?
2016/04/06
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