人みな眠りて (河出文庫 ウ 10-2)
人みな眠りて (河出文庫 ウ 10-2) / 感想・レビュー
そふぃあ
『はい、チーズ』の方が好きな短篇が多かった印象。表題作「人みな眠りて」はとても良かった。クリスマスのイルミネーションを競うというのがなんだかアメリカっぽくて好き。仕事熱心がすぎて「記事のために犯罪よ、どんどん起これ」みたいなギリギリの発言をする上司のキャラクターがパンチ効いていた。 嫁のせいで書けない絵を描かされる「ペテン師たち」も面白かった。ほろ苦くても苦さ多めの話より、甘めの物語の方が個人的に好みだったかな。
2021/06/28
そうたそ
★★☆☆☆ カート・ヴォネガット最後の短編集とは銘打たれているものの、収録されている作品自体は初期のものが多い、という作品集である。全体としてSF色が薄い作品がほとんどで、ヴォネガットは読みたいがSFが苦手、という人にはうってつけかも。もうこれで終わってしまうの、というくらいにあっさりし過ぎた作品が多く、内容もどこか教訓めいたものが多いのが特徴だろうか。それ故に個人的には物足りなさが感じられた作品集だった。こんなオタク話、今でも普通にありそうだというような「スロットル全開」は面白かった。
2019/01/20
ふりや
ヴォネガットのキャリア初期の短編16篇を収めた作品集。ハヤカワではなく、河出から出ています。SFのイメージの強い著者ですが、本作は気の利いたオチが楽しめる「ヴォネガットおじさんの人情噺」という感じです。どの話も最後にはちょっと教訓めいた締めが待っているのですが、それが全然嫌味ではなく、読むうちにむしろそういった展開を望んでいる自分がいたりしました。池澤春菜さんの解説も良いです。印象に残ったのは、『ジェニー』『スロットル全開』『ガール・プール』『人みな眠りて』『年に一万ドル、楽々と』『ペテン師たち』など。
2023/08/23
猫丸
読友さんおすすめ本。ヴォネガット初期短編集しかも本邦初訳。若い頃の作品らしく、ややヌルいヴォネガット。だがそれがいい。当たり障りのない人情話に見えて、凡人にはなかなか触知できない玄妙な機微をとらえており、どれも見事な着地を決める好編揃いである。例えばSF好きな中学生がこれを読んでもピンと来ないだろうが、30過ぎていろいろ苦い思いを通過した大人なら、どこか必ず共感できる部分を見出すと思う。黒い文字列から感情を再構成可能な人なら全方向的に推薦できる。とにかくツカミの上手さは天才的だねこの人。
2020/10/24
kozu
初ヴォネガット。初期の頃の作品が多いからか、思ったよりSF要素は強くなくて人間ドラマなお話多め?巻末まで楽しく読めた。お気に入りは表題作。次は猫のゆりかごかはいチーズ読んでみよう。
2019/03/08
感想・レビューをもっと見る