世界怪談名作集 北極星号の船長ほか九篇: 北極星号の船長ほか (河出文庫 お 2-3)
世界怪談名作集 北極星号の船長ほか九篇: 北極星号の船長ほか (河出文庫 お 2-3) / 感想・レビュー
翠埜もぐら
岡本綺堂氏翻訳の怪談集。ドイルから中国の牡丹灯籠原作まで。欧米の怪談集の中にちゃんと中国物も入れてらっしゃるのは、さすが漢籍にも詳しい綺堂氏。そんな中でストックトンの「幽霊の移転」が発想の奇想天外さが楽しかった。でも怪談なのかこれ? 幽霊が出てくるので一応怪談の部類なのかな。瞿宗吉の「牡丹燈記」は日本の「牡丹灯籠」のようなしっとり感を予想していましたが、もっと下世話な感じでした。幽霊が鞭で打たれたり血を流して苦しんだりするって、日本や欧米とは感覚ややっぱり違いますね。生者とほぼ変わらないんだなぁ。
2023/02/27
春風
岡本綺堂の手による編訳『世界怪談名作集 下』の改題復刊。下巻へ入りようやく綺堂訳に慣れてきて、妙味を堪能できるように。上・下巻を通して読んで思うことは、綺堂のアンソロジストとしての腕の確かさ。『世界怪談名作集』という名に相応しい名作の数々が収録されている。「世界怪談」といえば英国のゴシック小説を想起するところであるが、SFチックな作品から怪談牡丹灯籠の粉本に至るまで網羅しており、綺堂の博覧ぶりも見てとれる。海外の作品を綺堂の文体に換骨奪胎した、唯一無二の怪談アンソロジーであった。
2022/12/25
qoop
ホフマン〈廃宅〉のえも言われぬ不気味さであったり、フランス〈聖餐祭〉の最後の一段落の妙味であったり、モーパッサン〈幽霊〉の題材と著者のしっくりくることを再確認できたり。古典の面白みを改めて感じさせられる一冊。綺堂の著作はパブリックドメインとなっていたかと思うが、翻訳書も再刊されるなら嬉しい限りだ。
2023/04/10
氷沼
初読だった、マクドナルド「鏡中の美女」が際立って良かった、切ない。 上下巻合わせ、名アンソロジーとしかいいようがない。 岡本綺堂の博識たるや...
2024/01/14
もっち
こちらの収録作は初見揃い、そして(旧)上巻に勝るとも劣らぬ傑作揃い キップリング「幻の人力車」のなす術なく追い詰められる心情、アンドレーフ「ラザルス」の途方もない虚無とその果ての物寂しい美しさ、モーパッサン「幽霊」の単刀直入に突きつけてくるおそろしさ、辺りが特に好き ストックトン「幽霊の移転」は幽霊とは…ってなるやつで何食ったらこんな話を思いつくのか
2023/09/12
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