埴谷雄高作品集 15 対談 2
埴谷雄高作品集 15 対談 2 / 感想・レビュー
たんかともま
かなり台湾での体験が埴谷を形作っているのだとわかった。あえてその部分を直接滲ませないようにはしているのだろうけれど、日本から離れた出発点だからこそ、理想的な日本人や抽象を描くのかもしれない。また、独房もやはり埴谷を形作った要因のひとつであり、生々しさより観念的な作風の原因だろう。感覚と思考についての言及で、考える小説が少なく、武田の『富士』のような全員思索者の作品は珍しいと語っており納得。日本の小説は感覚よりで、かつ、私詳説になりがちだ。回想は情景が浮かび、ある種私小説的なお喋りで『死霊』とは違う読後感。
2019/12/19
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