地球は破壊されはしない (須賀敦子の本棚 9)
地球は破壊されはしない (須賀敦子の本棚 9) / 感想・レビュー
ヘラジカ
<須賀敦子の本棚>シリーズは今の所すべて追っていて読了済なのだが、こちらは今までで一番難しい本だったかもしれない。難解というわけでもないので難しいという言葉は語弊があるか。とにかく今ひとつ響いてくるものがなかった。これまでの作品はカソリックでない自分でも魂に響くものがあるものばかりだったので残念でならない。慣れない戯曲というのもあって、恐らく自分が読み込めていないだけなのだろう。
2019/06/11
なおこっか
寡黙なペッピーノに対して声の大きなダヴィデ神父。新婚旅行にまで同行して須賀さんをふくれさせたダヴィデ神父。活動的で快活で、もしかしたら配慮には欠けるかもしれない彼のイメージが先入しているものだから、黙示録による世界の終わりが色濃いモチーフであり、嘆き悩む人々が次々登場する展開は、やや意外だった。しかも、人物たちが一面的ではなく、前へ進みつつも恐れ悩み続けるのが、強い印象として残った。『私には手がない』が与える原始的ともいえる感動とは、別の段階での思考。よりダヴィデ神父を知りたくなる一冊。
2019/09/11
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