須賀敦子全集 第1巻
須賀敦子全集 第1巻 / 感想・レビュー
OHNO Hiroshi
数十年後、ほとんど死んだ人々の人生のワンシーンを過剰なものを入れず再現する。ガッティのことを書いた二つの話は特に心を震わせる。みんな死んでしまったのだけど、あの時は、生き生きしていたのだった。
2020/01/20
文学ラジオ空飛び猫たち
文学ラジオ空飛び猫たち第11回「ミラノ 霧の風景」須賀敦子著 ~記憶の中の人々~ 文学的なエッセイだと思いました。時間と記憶を扱っているのですが、時間が経つと出来事や人や街の印象が変わるのがとてもうまいです。文学的な要素を持ちつつ現実感のあるエッセイを書けるのはすごいと思いました。ずっと自分の記憶に残る人が誰にもいると思います。そういう人たちを言葉にしているのがこの作品だと思います。 ラジオはこちらから→https://anchor.fm/lajv6cf1ikg/episodes/11-eieg6d
2021/12/20
Hiro
とてもいい文章で、一語一語に細やかな神経の行き届いた、しっとりとした味わいにまず打たれる。本書は1950年代から70年代にかけてイタリアに生活し結婚し現地の多くの人々とひと通りでない付き合いを重ねた著者の、静かだが心を揺さぶられるようなエッセイ集だ。多くは十数ページの作品だがどれも人の生き死にの鮮やかな印象をイタリアの街や自然のうちにみずみずしく描き出している。海外の文化の素養や滞在経験を売り物にして私たちを面白がらせ日本を批評する作家は多いけれど、著者は彼らとは一線を画す、孤高とも言える文学者だと思う。
2023/02/15
OHNO Hiroshi
死んだ人。なにかと瞬間、ひとつの情景で、浮かび上がる人物像。 なにかに、つながりたいのだ。
2015/04/19
ばん
「舞台のうえのヴェネツィア」「遠い霧の匂い」など、黎明の爽やかさを感じさせ、啼く鳥の声は楽しげだが、それは同時に夕焼けの哀愁でもある、味わいの深さ。エピソード的な構成が散漫とする気もしたが、時間を掛けて読むには反って良い。
2012/04/11
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